自称「時事評論家」の増田俊男氏がカナダの未上場IT企業の新株予約権を無登録で販売したとして、実質経営するサンラ・ワールドなどを警視庁が家宅捜索。「近年の投資詐欺は手口が巧妙化し、投資組合やファンドを通じたマジメな投資案件と見分けがつかないことが多い。それだけに、詐欺なのか本当に事業に失敗したのか判別が難しく、捜査の手が伸びるまでに時間がかかる」と指摘するのは、マーケットの裏にも精通するジャーナリストのX氏。例えば、カレー専門店「バルチックカレー」の運営会社だったバルチック・システム(既に解散)。

 「'07年に中国での大規模出店とロンドン市場への上場をぶち上げ、個人から1口100万円で匿名組合への出資を募った。1500万円分の株を上場前に安く買えるオプションまで付ける破格の条件だったが、上場どころかバルチック・システムは倒産した」

 一方、バルチックに資料請求をした人には、まったく別のE社が投資を勧誘してきたという。「売掛債権の流動化」という素人には理解しにくい事業を手掛ける企業の未公開株への投資をうたい、バルチックと同様に、匿名組合に1口38万円で出資を募るものだった。

 「資料の入った封筒には、イスラエルを象徴する『ダビデの星』と某新興宗教で有名になった梵字を組み合わせたマークが印刷され、何やら怪しげ。『いつでも上場申請できる』『'08年以降の上場を目指す』はずが、その気配はなく、出資者の焦りは想像に難くない」

 一体、詐欺師たちはどこでカモを見つけてくるのか?

 「個人情報保護が厳しく名簿業者を頼れない現在、多いのは顧客台帳の使い回し。通信設備リース事業の名目で2万人から500億円を集めた平成電電('06年清算)の出資者名簿のコピーが詐欺師の間で売買されているようだ」





■X氏
大手証券会社を経て、フリーの経済ジャーナリストに。
幅広い人脈と圧倒的な情報網で、あらゆる金融・経済事情に精通する