現状、日本や米国は独自の会計基準を持つ。しかし、昨今のグローバル化の波を受けて、欧州を中心とする多くの国で採用されている「IFRS」(国際会計基準)に足並みを揃えることが決定された。日本では'10年3月期から導入を開始し、'15年までに全上場企業に義務づけられている。IFRSと従来の基準では何が異なるのか。T&Cフィナンシャルリサーチの本吉亮氏は、例として左ページの4項目を挙げる。

「特に注意したいのは、最終的な利益が『包括利益』に変わること。これは、期初と期末の純資産の増減額『その他の包括利益』を当期純利益に合算して算出します。収益が減る場合があり、業績の見通しが立てづらくなります」

そのほかにも、IFRS導入にはマイナス要素が多いという。

「『年金の積み立て不足の繰り延べ処理』ができなくなるのも大きい。不足分が多い企業は、大幅に自己資本が目減りするので、下手したら債務超過になることも。人材の多い大企業が危険です」

逆にメリットはというと、「強いて挙げるなら、のれん代を償却しなくてもよくなることでしょうか」という。のれん代とは、買収額と買収した企業の純資産の差額。
日本の会計基準ではこれを20年かけて償却し、その分を利益から差し引く。つまり、大型買収になればなるほど利益が削られるのだ。

「しかし、IFRSではこれを不要としているため、多額ののれん代に苦しむソフトバンクあたりは、今頃ほくそ笑んでいるはずです」

そのほか、ユニークな変更点としては、有給休暇が未消化だと負債欄に記載される点が挙げられる。「企業は負債が増えることを嫌がりますから、このおかげで有休が取りやすくなり、レジャー産業が盛り上がるかもしれませんね」






■本吉 亮氏
T&Cフィナンシャルリサーチの調査部マネジャー。
日本株の調査・分析などを担当。
データを重視した銘柄選びに定評がある