'09年に80%も上昇した中国株相場。しかし現地では、「あと10年で株価は3倍に伸びる!」と強気の見方が。中国の現地事情にも詳しい総合ポータル「サーチナ」の有田直矢氏に聞いた。



 先に述べたように、中国が通年目標とする「GDP8%成長」の達成は、ほぼ確実。4兆元(約52兆円)の大型財政出動など、政府の積極的な景気テコ入れ策によって、中国はいち速く高度経済成長路線に返り咲いた。順調にこの成長が続いていくと信じてよいのだろうか?

 「中国政府は優秀で、状況を的確に判断しながら必要な政策を速やかに打ち出します。『政府に任せておけば安心だ』という投資家の自信が中国経済の成長と中国株相場を支えているのです¤と語るのは、中国株情報の充実ぶりで定評がある総合ポータルサイト「サーチナ」の有田直矢常務取締役。

 「最近、中国の投資情報サイトが発表した10年後の中国株式市場に関する予想では、代表的なインデックスである上海総合指数は現在の3倍以上の1万ポイント、株式時価総額は現在のニューヨーク市場を上回り、東京市場の4倍強に当たる100兆元(約1300兆円)まで拡大すると見ています。日本の高度経済成長期の株価上昇を考えれば、決してあり得ない予想ではありません」上手に運用すれば、10年間で資産を3倍も夢ではなさそうだ。

 しかし、「’09年相場を振り返ると、上海総合指数が年初から80%近くも上昇するなど、過熱感は否めません。5〜10年の長期で見れば、相場が右肩上がりで上昇することは間違いないと思いますが、短期的には調整局面が訪れる可能性もあります」。と言う有田氏が特に注目するのは、「リーマンショック」による景気後退を避けるため、中国政府が矢継ぎ早に打ち出した大型財政出動や金融緩和策が効き過ぎた結果、中国の株式や不動産で「バブル」の兆しが表れていることだ。

 「中国政府は現在、バブル封じとインフレ抑制のため、金融緩和を弱めて市場への資金流入を細らせる『出口戦略』を模索しています。その影響で、10年半ばごろに中国株相場もいったん調整するかもしれません。5〜10年の長期スタンスで中国株投資を行うのであれば、調整は絶好の買い場でしょう」


 もうひとつ、有田氏が注目するのは、人民元相場の動向。対中貿易赤字の拡大を受けて、米国では「安すぎる人民元相場を切り上げるべきだ」との声が強まっている。

 「米国の要求を受け入れる形での人民元切り上げはないと思いますが、中国経済のバロメーターであり、国際的な影響力も高めているのは事実。11月半ばには切り上げ観測だけで上海、深センB株が急騰したように、中国株相場を見る上では、事実・観測ともに重要なファクターの一つ」

 ちなみに香港上場株は、香港ドル建てで取引されるが、香港ドルは米ドルと連動しており、「対米ドルで円高になれば、株価が上昇しても為替で損をすることもあるので注意が必要です」

 注目セクターは、「どんなに不良債権を抱えても中国政府が全力で支えてくれる銀行、株式相場の上昇とともに運用益の拡大が期待できる保険などでしょうか」と有田氏は語る。しばらく株価を観察し、下げたときに買うのが良さそうだ。




■有田直矢氏
株式会社サーチナ常務取締役。
南京大学大学院で中国近現代史、とくに1910年代の日中関係を研究し修士号を取得。
2000年、サーチナ入社。中国株などの情報配信に注力

▶投資情報総合ポータル「サーチナ」http://searchina.ne.jp/
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