「景気ですか? 八方ふさがりです……」。いきなり厳しい見通しを披露してくれたのが、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏。'09年7-9月の実質GDP(国内総生産)成長率は年率4・8%、米国が2・8% 、中国が8・9%だから、世界経済はリーマンショック前の成長軌道に復帰したかに見える。しかしこれは、超低金利政策や財政出動など、打てる政策を総動員してつくった"見せかけ"の回復。いわばドーピングのようなもので、効果はいずれ切れる。国内景気を取り巻く環境といえば、公共投資が削られ、住宅市況は冷え込み、設備投資も減るばかり。自力で経済成長できない実情に市場参加者が気づくことと政策効果の息切れが重なれば、「株価は下がり、安全資産である国債に資金が流入するしかありません」と上野氏は指摘する。

ニッセイ基礎研究所のシニアエコノミスト、矢嶋康次氏も「二番底リスク」に警鐘を鳴らす。

「景気の底割れこそ回避されてはいますが、賃金が上昇する展望が開けないことに加え、年金制度への不安も根強いため、個人消費が増えない構造になっています」

矢嶋氏は、実体経済の悪さ以上に悲観的な雰囲気が広がり、個人の消費や投資マインドが衰えてしまう点を問題視している。なかでも、外国人投資家の日本株買いが膨らまないことを気に掛けている。

「ここ10年ほど、日本人は外国人投資家が動いたのを見て株を買ってきましたが、今回は日本より成長率の高いアジア諸国へ海外マネーが向かっています。外国人が買わないため、日本人も株に手を出せず、結果として買い手不在に陥りつつあるのです」(矢嶋氏)

このタイミングで更なる円高が襲ってくれば、輸出企業の業績悪化が深刻化し、株式市場は再び大幅安に見舞われる危険性が大きく、株式市場は二番底を探りにいく
では、次の下げ相場をどう勝ち抜くか? 前出、経済ジャーナリストのX氏は、「一番おいしいのは景気悪化で崩れる株」と睨む。

「まず株安で即死しそうな証券株が下げ、自動車や商社、不動産など景気敏感株も売り叩かれ、大手銀行株が値崩れすると株安は最終局面に入るでしょう。恐らくそこでようやく株価対策が打たれ、株価が戻りに転じる。このとき、日経平均が2〜3割上がるのを横目に、売り叩かれた証券株なら軽く2倍になるでしょう。そんなタイミングが狙い目です

大手といえども倒産リスクがあるのだが、「日本証券金融(日証金)は日銀天下りの巣窟でもあり、安全性は高い」(X氏)という。

「また、円高でトヨタなど主力株は下落を余儀なくされますが、積極的に円高メリットを取りにいくのも一法です」(同)

「不況の長期化」もキーワード。
低額消費時代の勝ち組として「ユニクロ」のファーストリテイリングに買いが集中しているが、すで
に割高感が強い。そこで、ほかの低価格品専門店が"総ビンボー時代"の右肩上がり銘柄として期待できそうなのだ。




上野泰也氏
みずほ証券チーフマーケットエコノミスト。
富士銀行、富士証券(ともに、現みずほコーポレート銀行)等を経て、現職



矢嶋康次氏
日本生命を経て、ニッセイ基礎研究所シニアエコノミストに。
共著に『図解20年後の日本』(日本経済新聞出版社刊)など