黒田東彦日銀総裁が放った追加金融緩和策、いわゆる「黒田砲」で、市場は新たな局面を迎えた。インフレ目標を掲げるアベノミクスの第2幕で、改めて注目したいのが不動産市況。J-REITへの投資の可能性を考えてみる。


◆ホテル、ヘルスケア……新業態IPO銘柄に注目



⇒【前編】

’02年からJ-REITに投資しているかめや投資経済研究所の亀谷保孝氏は、今後の相場に期待を寄せる。

「たとえ金融緩和がなくても、J-REITは有望な市場。たとえ倒産しても不動産は残るわけですから安心感があります」

’12年のJ-REIT投資で、値上がり益も含めて年22%の利回りを得ているという亀谷氏が注目しているのは、従来からあるオフィスや住宅以外の、新業態の銘柄だ。

「外国人観光客の増加など円安メリットが大きいホテルや、老人ホームなどを投資対象とし景気に左右されにくいヘルスケア、ネット通販拡大の恩恵を受ける物流、といった新しい業態の新規上場ラッシュが続いています。お金を生み出す不動産であればなんでもJ-REITになり得るので、今後も面白い銘柄が登場することは十分考えられます」

一方、アイビー総研の関大介氏によると、現状これらの新規上場銘柄には買いが殺到し、価格はオーバーシュート気味であるため、分配金利回りが4%台になるまで価格が落ち着くのを待つのが無難だという。買いにいくなら、大手企業がスポンサーについている銘柄が安心だとか。

こうした新業態を含め、当面は長期保有にこだわらず値上がり益を狙い、10%程度の利益が出たらこまめに利益確定していくのがおすすめだという。

「安倍政権が目指す良いインフレが起これば、REITは有効なインフレ対策になります」(関氏)

急激な円安による物価上昇が懸念されるが、お金を寝かせるだけだと資産価値は下がる一方。そんなご時世だからこそ、有力な投資先の一つとして考えてみたい。

初めてのJ-REITはこの銘柄がオススメ



●アドバンス・レジデンス投資法人(3269)
株価:28万6400円/分配金利回り:年3.14%

住居特化型。メインスポンサーは伊藤忠商事。約1万8000戸の賃貸可能戸数を持ち、住宅系では最大規模の銘柄となる

●グローバル・ワン不動産投資法人(8958)
株価:38万2000円/分配金利回り:年4.92%

オフィス特化型。多くの有名企業が資本参加。旗艦物件のテナント退去が続いているが、賃料を上げる機会となり収益改善の期待も

●大和ハウス レジデンシャル投資法人(8984)
株価:52万3000円/分配金利回り:年3.30%

大和ハウス工業がメインスポンサーとなっている住居特化型のJ-REIT。最近の取得物件には有料老人ホームも

●ジャパンエクセレント投資法人(8987)
株価:14万7600円/分配金利回り:年3.33%

投資方針は総合型だが、実際の投資は9割以上をオフィスが占めている。スポンサーの主体はみずほフィナンシャルグループ

<ETFもおすすめ!>

●NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)
●上場インデックスファンドJリート(東証REIT指数)隔月分配型(1345)
●MAXIS Jリート上場投信(1597)

※ETFなら1万円台から気軽に投資でき、分配金も受けられる。上に挙げた3本は、資金も大きく、流動性も高いため安心。1345はREIT指数の100倍程度が投資単位

【亀谷保孝氏】
かめや投資経済研究所。地銀の有価証券マネジャー、外為カスタマーズディーラーを経て現職。著書に『かめさん流 スローな投資術』など。自らも分散投資を実践

【関大介氏】
アイビー総研代表取締役。不動産投信情報ポータル『JAPAN REIT』(http://www.japan-reit.com/)を運営。J-REITのスペシャリストとして講演、執筆などを手掛ける

取材・文/森田悦子
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