黒田東彦日銀総裁が放った追加金融緩和策、いわゆる「黒田砲」で、市場は新たな局面を迎えた。インフレ目標を掲げるアベノミクスの第2幕で、改めて注目したいのが不動産市況。J-REITへの投資の可能性を考えてみる。


◆“黒田砲”で沸き立つ市場に便乗せよ!



’14年10月31日、黒田東彦日銀総裁はETF(上場投資信託)とJ-REIT(不動産投資信託)の保有残高をこれまでの3倍に増やし、それぞれ買い入れペースを年間約3兆円と年間約900億円に増やすという「黒田砲」の第2弾となる追加金融緩和を発表した。

「日銀は今後、莫大な資金を株式市場に投じることになりますが、個別銘柄に関していえば、買うのはJ-REITだけです」

こう話すのは、アイビー総研の関大介氏だ。

「前回とは異なり、インフレ目標を達成するまで無期限で買い続けると発言しており、市場には強い買い安心感が広がっています」

J-REITは投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションといった不動産を購入し、その賃貸収入などを投資家に分配する金融商品だ。東証に約50銘柄が上場され、株と同じように取引ができる。

このJ-REITには今後、日銀の買いに加え、副次的な需要も見込めるという。

株と比較するとREITは出遅れ気味



「日銀は長期国債の買い入れ額も大幅に増やすと発表したため、国債の金利は急落し投資できる水準ではなくなっています。これまで国債の有力な買い手だった銀行が代わりの投資先を探さざるを得なくなり、その最有力候補がJ-REITなのです」

’13年5月の急落以降、日経平均株価は長く方向感に乏しい値動きだったのに対し、東証REIT指数は緩やかな右肩上がりを続けていた。それでも、上昇余地はまだ十分残されているという。

東証REIT指数
 日経平均株価はすでに1万7000円超えとリーマンショック前の高値である1万8300円に迫る勢いであるのに対し、東証REIT指数はまだ1700ポイント台と、当時の高値2436ポイントには遠く及んでいないのだ。

「値動きに影響の高いオフィス空室率は当時3%程度だったのに対し、現在は5%台。空室率が5%を切ることがあれば貸主は賃料を上げやすくなり、分配金アップやさらなる価格上昇はありえます」

景気回復ならオフィス系、手堅い投資は住宅系



ただし、本来REITは値上がり益を狙うより、長期で保有し安定的な分配金の恩恵を享受するための投資商品だ。これだけ値上がりしても、分配金はほんとんど増えておらず、肝心の利回りは低下するという矛盾も抱えている。

「利回りは5%程度は欲しいところですが、現在は平均で3%台とここ数年で最低水準。しかしこの先景気が拡大して賃料が上昇すれば、利回りの回復も期待できます」

真っ先に分配金を増やす可能性が高いのは景気への感応度が高いオフィスビルを対象とする銘柄だ。景気回復の恩恵をいち早く受けたいならオフィス系、より安定した利回りを確保したいなら住宅系がおすすめだという。少額の資金で投資したいなら、1万円台から購入できるETFにも注目したい。

「東証REIT指数に連動する4本のETFは分配時期が異なるので、3本保有すれば毎月分配を受けられます。オフィス系の割合が高いので、景気回復の恩恵も受けやすいでしょう」

⇒【後編】に続く http://yenspa.jp/32465.html

【関大介氏】
アイビー総研代表取締役。不動産投信情報ポータル『JAPAN REIT』(http://www.japan-reit.com/)を運営。J-REITのスペシャリストとして講演、執筆などを手掛ける

取材・文/森田悦子
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