’15年から相続税が大幅に改正される。「ウチはたいした資産もないから、相続税なんて関係ない」なんて油断していると痛い目に。税理士に賢く相続するためのノウハウを聞いてきた!


◆(4)生前贈与を活用すれば相続税を軽減できる!



⇒【前編】

相続税とセットで語られることの多い「贈与税」にも、見逃せないポイントがある。相続させる前に、子供や孫に資産を贈与することで節税につながるのだ。

「贈与に関しては、年間に110万円の基礎控除があります。時間をかけて、少しずつ贈与してもらうことで相続税を軽減できるのです。また、生前贈与は子供だけでなく、お孫さんやお嫁さんなどにも可能なのがポイントですね」

さらに「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」というものもある。これは祖父母から30歳未満の孫1人につき、1500万円まで贈与税を非課税とする制度。

「子供1人につき教育費が1000万円から2000万円はかかりますから、子育て世代から注目される制度です」

相続税を圧縮できる代表的な方法を見てきたが、相続については子供から親にはなかなか切り出しづらいもの。かといって、ほっておくべき問題ではない。ニュースになりやすい税制改正のこの時期こそ、相続や今後の生活スタイルについて話し合うのにいいタイミング。積極的に取り組み、双方の幸せを考えてもらいたい。

仲のいい兄弟姉妹が相続でモメるのは珍しくない



武内優宏氏
 相続に関する問題はなにもドラマだけの話ではない。相続に関する相談を数多く受ける武内優宏氏に、弁護士の視点から注意点を聞いた。

「相続に関しては、節税にばかり目が行きがちなのが最大の注意点です」

その点では、相続人よりも被相続人、つまり親世代の意識を変えることが重要なようだ。

「遺産をどう分割するかを考える前に、アパートを建てたりタワーマンションを買ったりと、節税対策に走るのは一番避けたい。なぜなら不動産は分割しづらく、相続人が複数人いる場合には、資産の分配に行き詰まりやすいのです。まずは資産の分割方法を決める、それから節税対策をする。この順番を間違えて、兄弟姉妹で仲違いしてしまうケースは少なくありません。税金は安くなったけど、家族とは仲が悪くなってしまった、では意味がないですよね」

そのためには家族で話し合い、できれば遺言などであらかじめ遺産分割を考えておくべきなのだが……。

「うちの子供たちに限って、モメることはないと思っている親が多いですね。遺産分割に関して遺言を書くことなどを促すべきでしょう」

アパート経営やマンション購入など、各業者から相続を視野に入れた節税対策関連の営業攻勢は今後、いっそう活発になっていくという。節税に目がくらんで……なんてことにならないよう注意が必要だ。

【内田麻由子氏】
相続専門の税理士として、相続対策や事業承継対策、相続税申告業務を多く手掛ける。財産の相続と心の相続(想続)を楽しく学ぶ『想続塾』を東京・港区にて主宰する。一般社団法人日本想続協会の代表理事

【武内優宏氏】
遺言や相続に関する案件など「終活」を多く扱う。「おひとりさま」や孤独死した遺族からの法律相談に精力的に取り組んでいる。法律事務所アルシエン共同代表

取材・文/河原塚英信 図版/moshimoshipeach
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