日銀の追加緩和に加えて、解散風まで吹いたことで、日経平均はなかば青天井&ドル/円は120円が射程圏内に! こんな大相場なら、ボロ儲けした人も多いはず……ということで、勝ち組トレーダーたちの収支を調査した!


◆スキャルで利益を重ねて+1000万円



⇒【前編】

 その点、FXはシンプル。為替市場の注目はドル/円に集まっていただけに、これだけで荒稼ぎした人も少なくない。

「10月中旬に投資信託を解約したお金をドル/円にぶち込んで、160枚買ったんです。アベノミクスが成功しても円安、失敗しても日本売りで円安になると予想して。そのポジションの利益がちょうど1000万円になる113円50銭で利確したんで、結婚10周年を迎える奥さんに豪華なプレゼントでもしようと思ってます!」

 こう話すのはFXでコンスタントに毎年1000万円程度の利益を上げているトレーダーの余弦氏。今回の爆上げもあって、資産は間もなく1億円に到達するという。

 スキャルパーのそらはる氏は「スキャのクセが抜けず、すぐに利食いしてしまって、残念なトレードでした……」と言いつつ、10月だけで900万円の利益。

「’13年4月の異次元緩和のときは逆張りでドル/円を売りまくり、ナンピンしまくった結果、500万円のマイナス。嫁に泣きついて、『何も言わんと、このボタンをクリックして』と頼んで、損切りしたんです。なので、今回は大きく買いポジションを取って、ひたすら回転売買。前回の失敗は、とりあえず生かされたと思います……」

 同様に前回の教訓を生かした人のなかには、サラリーマントレーダーのひろぴー氏もいる。

「営業回りをしているときに、ドル/円が噴き上がっていることに気づいたんです。去年の黒田バズーカでは300銭以上も上がったので、すでに130銭上昇していたけど、111円手前で迷わず買い! フルレバで115円到達までひたすら買いました」

 景気のいい話ばかり紹介してきたが、当然、真逆の人もいる。

「骨折した。恥をさらしたくないので、勘弁してよ」

 取材を申し込んだ小誌記者にこんなメールをしてきたのは、オプションで1000万円近い損失を出したサラリーマン投資家。

「毎日追証、追証で疲れました。傷が癒えてないので、遠慮します」

 5000万円の資産を「黒田バズーカ2」後に半分(!)に減らしたオプショントレーダーも、こう回答してきた。東日本大震災直後に数千万円単位の利益を出していた名うてのトレーダーも含めて、オプションを手掛けていた投資家は軒並み大惨敗だった。その心中は推して測るべし。黒田バズーカ2に笑った人と同じ数だけ、泣いた人もいたようだ……。

◆バンザイ・アタックと揶揄される黒田バズーカ

 日経平均の押し上げ効果はてきめん。円安で輸出企業も潤うなどと言われている今回の黒田バズーカ2。だが、マーケット関係者からは賛否両論を呼んでいる。

「日銀は弾を撃ち尽くした。これ以上、緩和する余地がないため、ウォール街では日本国債が“バンザイボンド”と呼ばれている」

 こう話すのは外資系投資銀行の債券アナリスト。日銀の追加緩和は“バンザイ・アタック”と揶揄されているというのだ。

 というのも、今回の追加緩和では長期国債の買い取り枠が30兆円拡大されたが、同じ日に運用資産130兆円を誇る世界最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用比率の見直しを発表。ここで60%にも達していた日本国債の運用比率を35%まで引き下げることが明らかになったのだ。単純計算するとGPIFから放出される国債は約25兆円分。日銀の買い取り枠拡大はほとんど埋まる……。

 幸いにも現段階では債券市場で日本国債が売り込まれている様子はなく、長期金利は0.6%台を維持しているが、今後、政府が増税見送りに伴う財源不足を国債乱発で補おうとすれば、利回りが急上昇する……なんてことも考えられなくはない。安倍政権&黒田・日銀は自らを崖っぷちに追い込んでおり、もはや後戻りできない立場にあるようだ……。

取材・文/高城泰(ミドルマン) 池垣完(本誌) 図版/ミューズグラフィック
― 日銀[黒田バズーカ2]で笑った泣いたトレーダー白書【2】 ―