吉田 恒
 10月、110円で始まったドル/円は、先週は107円台へドル安・円高になりました。そこで今回は、10月の後半の為替の見通しについて考えてみたいと思います。


◆カギは金利ではなく株



 今回の110円に至る記録的なドル高・円安は、株の大幅高でほぼ説明できるものです。対照的に、金利差で説明できる範囲を大きく超えた動きでした<資料参照>。以上のように見ると、ドル高・円安がもっと続くか、それともドル安・円高へ転換するかのカギは、本質的には金利ではなく株が握っているということになるでしょう。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=731190

10月末105円、年末100円というドル/円シナリオ
 そんな株は、10月に入ってから不安定さが目立ってきました。それでも、かろうじて先進国で唯一といってもいい米経済の好調を受け、米株が「世界同時株安」の歯止め役になってきましたが、先週金曜日はそんな米株も続落しました。

 奇しくも、10月は1987年10月19日のブラックマンデー、1929年10月24日のブラックサースデーなど歴史的な世界同時株暴落の「悪夢の歴史」のある月ですが、今年の10月も株価は試練の時になるのか。それは、これまで見てきたことからすると、ドル/円の行方を左右することにもなりそうです。

 それにしても、デフレへの転落や景気後退、リセッション入りも警戒される欧州、そして消費税引き上げ後の景気回復力の鈍さの目立つ日本に比べ、来年からいよいよ利上げへの転換が予想される米国。そんな米国が世界同時株安の歯止め役になる関係は、基本的にはまだ続くのでしょうか。

 ただその米株も、すでに2011年後半以降、3年以上も1割以上の大幅反落なき続伸相場が展開してきました。米経済が、日欧などに比べて相対的に強いから、「記録的な反落なき株高」が続いてきたということはいえるでしょうが、それがもっと続くかは別問題でしょう。

 米株は先週反落しましたが、その理由は、IMFが世界経済見通しを下方修正したこと、また9月FOMC議事録で、世界経済の成長力鈍化やドル高が米景気にも悪影響する懸念が示されたことでした。また、IMFは株高の「バブル」も警告しました。

 このようななかで、米株が下落リスクを拡大し、それが世界同時株安になっているということは注目されます。米経済に対して悲観的に考えているわけでなくても、米株高とドル高の持続性には自ずと限度があり、その大きな転換点がこの10月かもしれないといった観点は必要なのではないでしょうか。

 それにしても、ドル高・円安を正当化してきた株高が株安に転換した時、100円を上回るドル高・円安は基本的には金利差で説明できる範囲を大きく超えている可能性があるので、金利差での歯止めを期待するのは難しそうです。

 「アベノミクス円安・株高」とされた動きの中で、為替と株と金利の関係が大きく崩れたのは想像できることでしょう。そんな関係のままで円安、株高が続くのか、それとも「熱狂」が冷めた後、大きく崩れた関係の一定の修正、それは円高、株安リスクということですが、それがありうるか試される局面を迎えているということではないでしょうか。

 後者の場合、ドル安・円高はどのように進むのか。ちなみに、9月からドル/円の値幅は5円に回復しました。110円をドル高値に、5円値幅が10月も続くなら、10月末は105円程度という見通しになります。

 そして、仮に110円で中期ドル高・円安が終わったということなら、この先はどんなシナリオになるか。中期ドル安・円高が始まった最初の3か月では平均的に10%程度のドル安になるようです。その意味では、10月110円から平均的な中期ドル安・円高が展開するなら、年末は100円程度という見通しになりますが、果たして?(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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