吉田 恒
円安は日本経済へマイナスといった「悪い円安」論も増えるなかで、円安阻止の円買い介入への言及も一部に出てきた。それだけ、今回の円安が「急すぎる」動きであるということはありそうだ。


◆5年線からの乖離率±20%超は「介入ゾーン」



 財務省が公表している1991年以降の為替介入実績で、円買い・ドル売り介入は2回の局面しかなかった。1991年5月―1992年8月、そして1997年11月―1998年6月。このうち後者、1997年11月はドル高・円安が130円に向かう局面、120円台後半から行われたと見られる。

 そんな1997年11月のドル/円は、5年移動平均線からの乖離率がプラス20%以上に拡大する局面でもあった<資料参照>。ドル/円の5年線からの乖離率がプラス20%以上に拡大したのは、1990年以降ではこの1997年から1998年の局面だけ。そしてそこではドル売り・円買い介入が行われていたわけだ。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=727277

普通なら「円買い介入」してもおかしくない?
 一方で、同乖離率がマイナス20%以上に拡大したのは1995年前後と2011年前後といった具合に2回あったが、ここではいずれもドル買い・円売り介入が行われていた。

 このように見ると、ドル/円の5年線からの乖離率が±20%以上に拡大した1990年以降の3回の局面では、これまですべて為替介入が行われていたわけだ。為替介入を行う理由の一つは、企業対応が困難なほど為替相場の変動が急すぎることを抑制するということ。結果的に見ると、5年線からの乖離率の±20%以上への拡大はその目安になってきた。

 さて、実は足元のドル/円の5年線からの乖離率は1990年以降では4回目の±20%以上への拡大となってきた。これを見る限り、企業対応が困難なほどの急すぎる円安への不満の声が増えているのは理解できるところだ。これまで述べてきたように、過去の経験からすると「円買い介入するに値する急すぎる円安」なのだろう。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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