吉田 恒
 2015年の金融マーケット最大注目のイベントは、やはり米国の利上げが始まるかということではないか。そこでこの米利上げと為替の関係についてのアノマリーを紹介しよう。


◆米利上げ前のドル高、利上げ後のドル安



 米利上げとドルの関係は、利上げが始まるまではドル高となり、実際に利上げが行われるとしばらくはむしろドル安になるということだ。「利上げ前のドル高、利上げ後のドル安」ということで、前回の米利上げが始まる2006年も、その前の1999年もこのアノマリーがおおむね確認できる。

 たとえば、2006年も1999年の場合も、利上げが始まる3-6か月前からドル高・円安となり、ただその動きは利上げが始まる約1か月前に一段落となっていた。そして実際に利上げが始まるとその後は約半年ドル安・円高となったのである。

 利上げが始まる前でも、それを先取りする形で市場金利が上昇し、それと連動する形でドルが上昇するのはわかる気がする。問題は、なぜ実際に利上げが始まると、上がる金利を尻目にドル相場はしばらく下落したのかということだろう。

 金融マーケットの有名な格言の一つに、「バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクト(噂で買って、事実で売る)」というのがあるが、米利上げとドルの関係もまさにそういうことなのだろうか。

 また、金利とは債券利回りのことだが、債券利回り上昇は、債券価格の下落ということになる。利上げで債券価格が下落することによってドルも下落するということではないかといった見方もあるが、果たしてどうか。

 それにしても、米国が利上げを行うということになると2006年以来のことになる。その2006年当時、5%以上の水準となっていた米国の政策金利、FFレートは、その後2008年リーマンショック前後の未曽有の金融危機を乗り切るためついにはゼロ金利まで引き下げられた。

 ゼロ金利となり、事実上利下げが限界に達したものの、それでも金融緩和策が必要だったため量的緩和というこれまた前代未聞の政策が採用された。そんな歴史的な金融緩和局面がいよいよ利上げ開始で名実ともに転換することになるのか。何か、こんなふうに書いていたら、本当にできるのかといった気持ちにもなってくるが、果たしてどうか?(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
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