吉田 恒
 2日から株高、円安のリスクオンが一段と拡大したのは、安倍内閣改造に伴う世界一の年金マネーとされるGPIF改革期待がきっかけになったとされるが、どれだけ効果があるのか。


◆日経平均は上がり過ぎ、円は下がり過ぎ



 公的年金を主管する厚生労働省のトップ、厚労相に塩崎政調会長代理が就任することで予想通り資産配分見直しが実現すれば、「GPIFだけで最大4兆円超の日本株買いに繋がる」とされる。

 塩崎氏は、「GPIF改革派」と見られてきた。GPIFについて詳しい慶応大学准教授の小幡績氏も自身のブログで、「これで、GPIF改革は良くも悪くも大きく動くだろう。大変なことになる」との見方を示していたので注目されることとはいえそうだ。

 ただ、日本株も5年移動平均線からの乖離率などで見ると、中期的にかなり割高懸念が強くなっているようだ<資料1参照>。「最大4兆円の日本株買い」で、もっと日本株の中期的な割高拡大が実現できるのだろうか。

※<資料1:日経平均の5年移動平均線からの乖離率>はコチラ
⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=709782


0904資料1
 また、円の実効相場の5年線からの乖離率を見ると、中期的に割安の限界圏にある<資料2参照>。これをGPIFは円高阻止とか、それどころか円安誘導できるのだろうか。

※<資料2:円実効相場の5年移動平均線からの乖離率>はコチラ
⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=709785


0904資料2
 ちなみに、日本政府の為替介入が超円高の阻止、是正を行ったのは1995年と2011年だった。当時は円が割高の限界圏にあった。その意味では円安誘導はやりやすかったのだろうが、それでも2011年の場合、為替介入は計16兆円にも上った。

 以上のように見ると、4兆円のGPIF買いで、すでに割高の日本株をもっと高く、そしてGPIFがすでに割安限界圏にある円をもっと円安にすることが本当に可能なのか、個人的には甚だ懐疑的だ。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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