吉田 恒
 9日公表された6月FOMC議事録では、記録的に低いボラティリティ、いわゆる「低ボラ」の中で利回り志向など行き過ぎたリスクテークになっている可能性への懸念が表明された。ところで、その9日、欧州ではポルトガルを中心とした高利回り債が急落した。これが、上述の行き過ぎたリスクテーク反転の「終わりの始まり」なのか注目される。


◆ポルトガルは「行き過ぎたリスクテーク」反動か



 9日の欧州債市場ではポルトガルを中心に高利回り国債が下落した。ポルトガル10年債利回りは前日比12ベーシスポイント上昇の3.77%。これは5月19日以来の大幅上昇。他の周辺国債では、スペイン10年債の同年限のドイツ国債に対する利回り差(スプレッド)がここ6週間の最大に拡大した。

 この動きが注目されるのは、こういったポルトガルを含めた高利回り債について、このところ欧米の金融当局では、行き過ぎたリスクテークの可能性があるとして警戒していたということがあったためだ。

 ちょうどこの9日、6月FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公表されたが、その中では、「金融当局は行き過ぎたリスクテークがないか目を光らせるべき」、「市場における小さなバブルの兆候を監視すべき」との意見が出ていたことが明らかになっていた。

 そして、そもそもこの6月FOMC後の記者会見で、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、高利回り債について、「われわれの目に留まっている。一部で利回り追求の兆候が出ている。これが低ボラティリティ環境を警戒している理由の1つだ」との認識を示していた。

 イエレン議長は続けて、「これがレバレッジの増大や、急激な巻き戻しや金利急騰などを招きかねないリスクテークを誘発するようなら、懸念材料となる」と警告を発していた。では、ポルトガル国債下落は、そんな「イエレンの警告」が現実化を始めた、そしてFOMCが警告した「小さなバブル」破裂の始まりなのだろうか。

 10日は、このポルトガル要因をきっかけに世界的に株安が広がり、「ポルトガル・ショック」の様相となったが、当面目が離せないのではないか。(了)

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FOMC警告「小さなバブル」、その終わりの始まり?
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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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