理財商品に続き、またしても中国で怪しい金融商品が人気を集めている。「元本保証」「出し入れ自由」のうえに、4.65%の高金利が付くという。そんなおいしい話が本当にあるのか!? SPA!記者が実践した!


◆中国人がこぞって買っている高金利MMF



人民元
 理財商品をめぐるシャドーバンキング問題がいまだくすぶる中国で、秘かに人気を集めている新手の金融商品がある。電子商取引サービス大手のアリババグループが展開しているオンライン決済サービス「支付宝」の付加機能として'13年6月に開始した「余額宝」だ。

 簡単に言えば、中国版PayPalである「支付宝」の口座から余額宝アカウントに資金を移動するだけで、高金利がつくというもの。オンラインMMFとも呼ばれているサービスだ。

 注目すべきは、その年利の高さだ。変動制である余額宝の金利は、今年1月上旬に6.76%に達し、緩やかに右肩下がりを続けているものの、4.65%で推移(6月10日時点)。中国系銀行の1年物定期が上限金利3.3%であることを考えれば、十分に高いといえる。しかも、資金の出し入れ自由で元本を保証してくれるのだ。

 こうした手軽さと利率の高さが若者にも受け、今年6月までに1億アカウントを突破し、預金残高は5500億元を超えている。これは、日本の中堅地方銀行をはるかにしのぐ金額である。

◆利子が日割りで毎日口座に入金

 中国在住で金融事情に詳しいフリーライターの吉井透氏も、余額宝の熱狂ぶりをこう話す。

「『今日は利子が何パーセントになった』みたいな会話を、日常の中で何度も耳にします。貯金や金融資産をすべて余額宝に集中投下している人も少なくありません」

 余額宝投資は、中国在住ビザがあれば、外国人でも購入は可能。小誌記者がチャレンジしてわかった手順は、以下に記したとおりだ。

 投資額は最低1元(16円)からできるが、とりあえず1万元を投入。このまま年利4.65%なら、1年後には約7500円の利子がつく計算となる。さらに余額宝の嬉しいところは、日割りの利子が毎日アカウントに反映されること。1元ちょっととはいえ、着実に資金が増えていくのは見ていて悪い気はしない。

 しかし、ここで気になるのは、そもそも余額宝はどのようにしてこの高利回りを実現しているのか。

 前述のとおり、中国の銀行預金は上限金利が設定されており、1年物定期の場合でも3.3%にすぎない。出し入れ自由な余額宝が銀行定期以上の高金利をはじき出しているのは、不思議な話である。

 アリババによれば、余額宝で集めた資金のうち、約9割を銀行の法人向けの大口定期預金に預けて運用し、利用者に高金利を提供できているのだという。

「確かに、法人向けの定期預金には金利の上限が設けられていないので、高金利をアリババ側が銀行から受け取って、運用している可能性もあります。しかし、それは建前で、実は更にリスクの高い不動産投資で資金を運用しているという噂もある。だとすると、これまでも問題になっている理財商品と本質的に変わりません。また党の上層部は、自分たちが利権を牛耳っている銀行以外に、人民の資金が流れることを快く思っていないとの情報もあり、近く規制が設けられる可能性もあるのが実情です」(吉井氏)

 事実、中国当局は政府系メディアに余額宝を「吸血鬼」と批判させるなど、オンライン金融の過熱を牽制する動きを見せている。


<まだある!中国発の高金利オンラインMMF>

 アリババが運営する「余額宝」が先鞭をつけた高金利オンラインMMFだが、ネット系を中心に複数の企業が、後を追うように類似商品を登場させている。こうしたなか、オンラインMMFの残高総額は1兆7500億元を突破。その背景には、(中国人からすれば)低金利の銀行金利とともに、一般銀行への不信がある。しかし、運用方法など不透明な部分も多く、破綻する可能性も高い。もし連鎖破綻すれば、その衝撃は計り知れない!?

●理財通/年利4.5%
利用者6億人以上ともいわれる中国版LINEの「微信」をプラットフォームに、今年1月からサービスを開始。6営業日で100億元を集めて話題になった

●零銭宝/年利4.7%
中国家電量販店チェーンの最大手で、全国に1000店舗以上を展開する「蘇寧電器」が今年1月からサービスを開始。残高総額は90億元程度と見られている

●掌櫃銭包/年利5.1%
ネット関連企業の参入が相次ぐオンライン金融商品において、興業銀行が放った反撃の一手。2月に開始したばかりで残高も13億元程度とほかに比べて少ないが、利回りは随一

●百賺/年利4.6%
'13年12月、大手検索エンジン「百度」の証券サービスが「百度金融」内で開始したサービス。以来、常に余額宝よりも高い金利をマークし、残高総額118億元規模に成長した

― 怪しい金融商品[余額宝]を買ってみた!【1】 ―