吉田 恒 ドル/円中心に記録的な小動きがなかなか終わりません。ところで、もう来週からは7月に入り、「夏相場」がスタートします。「夏枯れ」という言葉が象徴的なように、夏は小動きになりやすい傾向があるので、このままさらに記録的な小動きが続いてしまうことになるのでしょうか。


◆夏の大相場の代表例、2007年との不気味な類似



 たとえば、ドル/円の月間値幅を2000年以降で集計すると、平均値幅は7月が最小、そして9月、8月と小幅の記録が続きます<資料参照>。確かに、7-9月期の夏相場は小動きになりやすいことがわかるでしょう。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=667013

「夏の大相場」の可能性 ただそんな夏相場でも、異例の大相場が起こったことはもちろんありました。たとえば、7月のドル/円値幅が5円以上の大幅になったのは2002年、2007年、2009年の3回ありましたが、3回とも5円以上の値幅は8-9月にかけて2-3か月続き、7-9月のドル/円値幅は8-12円にも達しました。

 そんな異例の「夏の大相場」の中でも代表的な展開になったのが2007年だったでしょう。2007年は、7月にドル/円が5円以上に値幅が大きく拡大すると、8月はさらに8円以上の値幅になる大相場となり、結果的に7-9月の値幅は12円にも達したのです。

 2007年の夏相場が、このように夏枯れとは全く対照的な大相場となったのは、後から振り返ってみると、それが金融危機の始まりだったためでした。2007年8月のパリバ・ショック、そして2008年にかけてサブプライムショック、リーマンショックが展開する中で、信用バブル、住宅バブル破裂が広がるところとなったわけです。

 このようなバブル破裂の背中を押す形になったのが、「過剰のリスクテーク」の逆流でした。2007年夏にかけて、信用取引を行うための借入、マージンデッド(証拠金債務)は過去最高を大きく更新し、急拡大が続いていました。それがピークアウト、逆流すると、相場の反転を加速させる要因になったようです。

 そのマージンデッドは、これまでのところ今年2月にピークアウトし、縮小に転じ始めた動きになっています。「過剰なリスクテーク」の影響を警戒する見方は識者の中にもあります。

 フィッシャー総裁はダラス連銀でのインタビューで、株式購入のための借り入れである証拠金債務(マージンデット)の残高が「過去最高近辺」に達していると指摘。「私の経験からはこれは危険な状況だと言える。この世の終わりが来るという意味ではないが、相場が反転する可能性を示している」と述べた(2月12日、ブルームバーグ)。

 記録的な小動きの中で、リスクテークに鈍感になり、結果としてむしろ「過剰なリスクテーク」になっていた動きが反転した結果、「異例の夏の大相場」が起こった2007年と最近は似ている面があります。では今回も、2007年に続く、「異例の夏の大相場」に向かうことになるのか、注目してみたいところでしょう。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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