吉田 恒 現在の米株高は「バブル」ではないかといった警戒論の根拠の一つとして、「マージンデッド(Mデッド=証拠金債務)」という指標が一部で注目されている。今年2月には、FOMCメンバーの一人も懸念を示したことがあった。


◆Mデッドと2回の米株バブル破裂



 2000年のITバブル破裂、2007年の住宅バブル破裂では、ともにこのMデッド拡大がピークアウトした前後から株暴落が始まった。これまでのところ、今年2月に、Mデッドはピークアウトした形となっているため、この2月ピークアウトが正しければ、いつ米株暴落が始まってもおかしくない段階に入っている可能性がある。

 ちなみに、これまでのMデッドのピークは、2000年3月と2007年7月。NYダウはこのピークの前後3か月程度で同じくピークアウトすると、その後最大4~5割の急落に向かった<資料参照>。そんなMデッドは、今のところ2月にピークを打ち、3、4月と2か月連続で減少。このまま2月ピークなら、経験的にはいつ米株暴落が始まってもおかしくなさそうだ。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=664560


 このようにMデッドを理由に、米株「バブル」を警戒する見方は昨秋頃からマーケット関係者の間で囁かれていた。そして今年2月には、FOMCメンバーの一人で「タカ派」の代表格として知られるダラス連銀・フィッシャー総裁も以下のように懸念を表明した。

 フィッシャー総裁はダラス連銀でのインタビューで、株式購入のための借り入れである証拠金債務(マージンデット)の残高が「過去最高近辺」に達していると指摘。「私の経験からはこれは危険な状況だと言える。この世の終わりが来るという意味ではないが、相場が反転する可能性を示している」と述べた(2月12日、ブルームバーグ)。

 ところで、同じブロムバーグで以下のような過去の記事も見つけた。

 5月17日(ブルームバーグ):ニューヨーク証券取引所(NYSE)のマージン・デット(株式を購入するための投資家の借り入れ)が、2000年のハイテク株バブル時代に達した過去最高水準に近づいている。ABNアムロのストラテジストらは、突然の株価急落のリスクの高まりを指摘する。

 ABNの為替ストラテジスト、グレッグ・アンダーソン氏とピーター・フランク氏(シカゴ在勤)はリポートで、「株価下落の際に懸念されるのは、投資におけるレバレッジが大きいことだ。これはパニック売りの規模を拡大させる」と記述している。

 ここで「5月17日」となっているのは、2014年ではなく2006年5月17日のこと。要するに、この後1年余りしてから、警戒していた「パニック売り」が現実になり、住宅バブル破裂の中でNYダウは5割以上の暴落に向かったのである。

 これからわかるのは、Mデッドの拡大は、「信用取引の投資家が過度のリスクの公算」(フィッシャー総裁、2月12日、ブルームバーグ)を示しているということ。このため、その拡大が一巡し、逆流する際、「パニック売り」をもたらすことでバブル破裂の株暴落リード役になる可能性があるということだろう。
以上のように見ると、Mデッドが2月にピークアウトしたかを、5月以降の数字で確認することが一つの参考になりそうだ。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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