雇用不安や年金不安を背景に、不動産投資の人気が高まっている。アパートやマンションを購入し、賃料を得るのが不動産投資の仕組み。毎月の家賃収入はいざという時の備えにもなる。
 とはいえ、多くのサラリーマンにとって不動産は高い買い物。安く買えるタイミングで第一歩を踏み出したい人が多いだろう。


 国内最大の投資物件ポータルサイト「楽待」を運営する坂口直大氏は「’13年4月以降が絶好の買い場」と断言。
「ここ数年、買い手は増えているというのに、売り物件の数は増えていません。需要は多いのに供給が少ないため、物件価格はずっと高値で推移していました。そんな不動産市場の流れが、’13年4月を境に大きく変化するからです」
 坂口氏が言う変化には、3年前に施行された金融円滑化法(モラトリアム法)が関係している。金融円滑化法とは、リーマンショックでダメージを受けた中小企業を救うために、ローン返済の繰り延べができるようにした法律だ。
「要は、銀行の借金を先送りできたため、中小企業は所有する物件を手放して返済を工面しなくて済みました。結果、物件が世に出回らなかったんですが、金融円滑化法は’13年3月を期限に終了します」
 となると以後、不動産市場に売り物件が確実に増えることになるという。
「金融庁のデータでは、中小企業が返済をまぬがれたローンの総額は約80兆円にものぼります。うち8割、約64兆円は不良債権になるというのが私の読みです。銀行は担保の不動産を競売にかけますから、市場に一気に放出される。それによって売り物件の価格は大幅に下落するため、’13年4月以降が絶好の買い場と言えるのです」



 ひと口に不動産投資といっても、アパートやマンションの1室、1棟丸ごと、戸建てなど、スタイルはさまざま。価格にもよるが、融資を受けて物件を購入するのが一般的だ。
「現在、個人向けに不動産投資ローンを提供する代表格は、りそな銀行、オリックス銀行、スルガ銀行の3行。それぞれの善し悪しがあります」
 例えばりそな銀行の場合、金利は2%台前半からと低い。ただし融資の審査は厳しく、法定耐用年数を超えた物件などは融資してくれない。
「法定耐用年数は、物件の構造によって異なり、木造なら最長22年。りそな銀行では築20年以上の木造アパートだと、融資が通らないということです。対してスルガ銀行の場合、金利は4%台と高いですが、法定耐用年数を超えた物件にも柔軟な対応をしてくれます」
 物件を選ぶ際、検討材料のひとつになる利回りについても覚えておきたい。例えば1000万円の物件を買って家賃収入が年間100万円あれば、利回りは10%になる。
「一般的に、東京など都市部の物件の利回りは低く、地方の物件ほど利回りは高くなります。利回りが低いと賃貸経営は安定するものの、投資のウマミは少ない。利回りが高いとリスクも高くなりますが、工夫次第でハイリターンが望めるんです」
 一方、密かに注目されているオイシイ投資先があるという。
「沖縄の軍用地です。その大部分は個人が所有する土地を国が借り上げて米軍に転貸しています。地主が手放す軍用地に投資すれば、国から安定的に賃料がもらえ、運営コストも一切かかりません。人気が高くすぐに売れてしまいますが、『沖縄タイムス』やネットにも情報が載るので要チェックですね」
 復興特需にわく東北の被災地物件も狙い目とのこと。
「人気なのは仙台です。全国の賃貸マンションの空室率が20%台なのに対し、仙台全体で5%前後。復興バブルの終焉とともに空室率は元に戻ると言われますが、現在の家賃設定が相場より低めの物件を買えば、バブル終了後も安定した稼動を見込むことができます」



 では、冒頭述べた’13年4月の大転換期を見据え、どのような不動産投資を進めていけばいいのか。
 坂口氏は金融円滑化法の終了後、一気に増える競売物件への投資を第一に薦める。平均的には競売は一般の投資家でも入札参加でき、落札できれば物件は市場の半値以下と激安。競売がダメなら『楽待』などのサイトを閲覧し、購入物件を探す。それでも物件価格は今より確実に安くなっているはずだ。
「初心者はいきなり1棟ではなく、まずは100万~200万円台のマンション1室から始めるのがいいでしょう。1室でも持てば大家業やお金の流れもつかめますからね。経験を積んだ上で1棟へステップアップしていくのが望ましいと思います」
 給料を超える家賃収入を夢見て、大家への第一歩を踏み出そう。