15日、イタリアなど欧州周辺国の国債が急落した。「域内債務危機は解決に程遠いとの懸念が再燃した」(ブルームバーグ)として、一部に欧州債務不安再燃への懸念が浮上してきた。


◆欧州の債券とユーロ「2つの値上がり益」狙い取引の逆流



吉田 恒「15日の欧州債市場では、ギリシャ国債を中心にユーロ圏の高債務国の国債が下落した。今月下旬の欧州議会選挙を前にした世論調査でギリシャの連立政権が支持を失いつつあることが示され、域内債務危機は解決に程遠いとの懸念が再燃した」(ブルームバーグ)。

 ギリシャへの懸念とはどういうことか。

「ギリシャの世論調査によれば、サマラス政権の連立パートナーである全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の支持率はわずか5.5%と、全政党の中で6位に下げた。30年にわたり国政に携わってきた同党に経済を混乱させた責任があると有権者はみている」(同)。

 こういったことを受け、ブルームバーグ報道によると、マーケットには以下のような見方も浮上してきたという。

「ギリシャのリスクは依然として大きく過少評価されている」と指摘。このため売りが続く可能性があるほか、欧州議会選挙の結果が「債務の持続可能性をめぐる措置に影響を及ぼせば、他の周辺国にも波及し得る」(同)。

 以上の内容を普通に読むと、今月下旬の欧州議会選挙の結果次第で、2012年にかけてユーロを急落させ、世界経済も揺るがせた欧州債務不安が再燃する可能性もあるという意味になるのではないか。

 こういったなかで、15日、イタリア国債も急落した(利回り急騰)。「イタリア10年債利回りは19bp上げて3.10%と、昨年6月24日以来の大幅上昇。一時は2.885%まで低下していた」(ブルームバーグ)。

 ところで、そんなイタリアやスペインなど周辺国の国債利回りは、2012年7月から急激な低下傾向が展開してきた<資料参照>。それは、為替のユーロ高が1.2ドルから1.4ドル近くまで展開したことに沿うものだった。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=645095

2年前世界を震えさせた欧州債務危機が再燃する!?(グラフ)

 2012年7月のドラギECB総裁の「ユーロを守るために何でもする」発言を受けて、ユーロ危機、欧州債務不安が解決に向かった。そのなかで、割安になった欧州周辺国の債券を、米国などの投資家が為替リスクをとる形で購入を急拡大したとの見方があった。この結果、ユーロ高と、欧州周辺国の債券価格高(利回り低下)が並行した可能性はあるだろう。

 ただ、最近にかけてECBはユーロ高への懸念を強めていた。そして、5月8日のドラギ発言を受けて、6月にかけての追加緩和観測が拡大し、ユーロは反落した。ECBのユーロ高阻止、是正方針を受けて、ユーロ買いで欧州周辺国の債券を購入する動きが逆流を始めた可能性は注目される。

 ECBの追加緩和などの動きを見ながら、ユーロ買いを伴う欧州周辺国債券購入の逆流が広がるようなら、その時、今月下旬の欧州議会選挙の結果を受けた欧州債務不安再燃の懸念は大きく材料視される可能性も要注意ではないか。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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