吉田 恒 8日、ECB理事会後のドラギ総裁の発言を受けてユーロは、この間の高値1.4ドル程度から1.38ドル台へ急反落となった。2年前、2012年7月末に、ユーロが底打ち、反発に転じるきっかけになった「ドラギ発言」と、ユーロ相場への方向性としては逆の影響をもたらすといった連想がマーケット関係者に浮かんだ可能性はありそうだ。


◆マーケットが思い出した2年前の「ドラギ相場」



 2年前のドラギ発言とは、ドラギ総裁が2012年7月26日、「ユーロを守るために何でもする」と発言し、ユーロ危機でのユーロ安を反転させるきっかけになった発言。この発言の直前、7月24日の1.20ドルはユーロの底値となり、ドラギ総裁の語った対策、OMTの詳細が明らかにされる9月初めにかけてユーロは1.3ドルへ急騰した<資料参照>。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=641332

ユーロ高

 これは、当時のマーケット関係者にとって強い記憶になった。今回、8日の記者会見で、ドラギ総裁は、「低インフレ環境でのユーロ相場上昇は深刻な懸念材料だ」などと発言し、マーケットでは「6月の追加緩和を約束したも同然」(ブルームバーグ)と受け止められた。それが素直にユーロ安の反応になったのは、2年前の記憶の影響もあっただろう。

 それでも、その2年前も、一気にドラギ発言の示す方向へ、つまりユーロ高への動きが広がったわけではなかった。「口先だけで有効策はない」との見方も根強く、しばらくユーロは1.21-1.24ドル程度での一進一退となった。

 ただ、2012年8月初めの理事会で、「ユーロを守る」対策、OMTがアナウンスされ、その詳細が翌9月初めの理事会で発表される見通しになる中で、ユーロは1.3ドルを超える一段高に向かった。

 単純にこの値動きを参考にすると、ユーロは今回の「逆ドラギ発言」で、8日の1.4ドル程度で天井を打ち、しばらく1.36-1.39ドル程度での一進一退になるのかもしれないが、6月初めの理事会にかけて、本当にユーロ高是正への有効策が出てきそうな見通しが強まるようなら1.3ドル割れへ一気にユーロ一段安へ向かうシナリオになるが、果たして?(了)

◆5月の会場及びWEBセミナーのご案内
5月13日=「100万ドルナイト為替セミナー(追加開催)」
5月14日=「FXアカデミア予測編」
5月23日=「WEBセミナー」
http://www.m2j.co.jp/seminar/

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/