新年度に入り、中長期で運用する「投信買い」が急増しているという。なぜか? 外国人投資家が日本株を買い増ししている本当の理由と、今狙っている株を探った


◆外国人にとって唯一の投資先は日本株のみ



  前回(http://nikkan-spa.jp/630494)、日本株が外国人投資家に買われる理由として、フィスコ・アナリストの小川佳紀氏は「追加金融緩和への期待感」「7~9月期の景気回復期待」「年始からの株安による割安感」の3つを挙げた。

  外国人投資家に日本株が魅力的に映るのはまた別の理由もある。米系投資顧問会社・ファンドマネジャーのA氏は次のように話す。

「米国では景気の持ち直しを受けて、FRBが量的金融緩和の縮小を進めています。運用会社はすでに大量の米国株を保有しており、NY市場での大幅買い増しは難しい。また、米国の金融引き締め局面では必ず新興国の経済混乱が起きているため、ブラジルやインドも投資先になりにくく、中国もバブル崩壊前夜。一方、欧州株はウクライナをめぐる軍事的緊張が続き、投資先としては危ない。となると、大量の投資マネーの受け皿になるマーケットは日本のみ。かつては“ジャパン・パッシング”と言われていたのが、今や貴重な安全投資先になっているのです」

 外資系運用会社を通じて日本に流入する資金は、欧米の年金基金や政府系ファンドとみられる。いずれも超短期の利ざや稼ぎを目指すヘッジファンドと違い、冒険をしない資金といわれる。

「今後の最大の注目材料は政府の成長戦略でも賃上げでもなく、日銀の追加金融緩和でしょう。成長戦略や賃上げで景気が上がる確証はないが、追加緩和となれば、確実に資金供給量が増える。このため、銀行や不動産など『金融緩和メリット株』には外国人投資家の関心が高いのです」(A氏)

窪田真之氏 英系運用会社シルチェスター・インターナショナル・インベスターズが2月の株安局面で横浜銀行や中国銀行など優良地銀株を買い集めたのも、金融緩和メリット株の底値拾いの一環とみられる。

「1~3月は世界的に株価が下落しましたが、米国もドイツも年初からの下落分をほぼ取り戻しています。長い目で見れば、日本株は出遅れを修正する形で上昇が期待できそうです」(楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之氏)

 下記に、大型株やインフラ関連、エネルギー関連、設備投資関連、内需の好業績中小型株など、外国人投資家が狙いそうな10銘柄をピックアップした。外国人投資家と歩調を合わせて上げ相場に乗る投資戦略が有効になりそうだ。

<外国人投資家が狙いそうな銘柄>

●KDDI
東1・9433/現在株価 5220円/売買単位 100株
時価総額は東証で上位10番目前後と大きく、機関投資家にとって外せない銘柄。'15年3月期は連続最高益に

●大成建設
東1・1801/現在株価 452円/売買単位 1000株
公共工事に強い大手ゼネコン。東京五輪に向けた施設整備や都心部再開発の中心銘柄。'15年3月期は増配か

●NIPPO
東1・1881/現在株価 1434円/売買単位 1000株
道路舗装大手。アスファルトは親会社であるJXホールディングスが供給するので、コスト面で他社を圧倒

●ウエストHD
JQ・1407/現在株価 1288円/売買単位 100株
住宅用の太陽光発電装置を扱い、ここ2年で売上高3倍、連続増益&増配。機関投資家の安定保有株が多い

●田淵電機
東2・6624/現在株価 660円/売買単位 1000株
太陽光発電用の制御装置が好調で、3月に業績予想を上方修正。東証2部上場で小規模なため株価変動幅が大きい

●牧野フライス製作所
東1・6135/現在株価 661円/売買単位 1000株
1台で切削や穴開けなど多機能をこなす工作機械を生産。投資減税に加え、欧米向け出荷拡大も株高材料

●安川電機
東1・6506/現在株価 1292円/売買単位 100株
産業用ロボットで世界首位。自動車やスマホ部品の精密加工など用途は幅広い。リハビリ装置にも市場の期待大

●サンリオ
東1・8136/現在株価 3255円/売買単位 100株
「クールジャパン」の中心銘柄。海外で「ハローキティ」などのキャラ使用料で稼ぐビジネスモデルを確立

●セリア
JQ・2782/現在株価 3745円/売買単位 100株
100円ショップ業界2位。年間200店目標に出店中。消費増税後の節約志向を追い風に業績拡大が見込まれる

●スタートトゥデイ
東1・3092/現在株価 2230円/売買単位 100株
女性に人気のファッションサイト「ZOZOTOWN」が拡大中。無借金で増収増益増配を継続している

【小川佳紀氏】
フィスコ情報配信部株式アナリスト。岡三証券を経て2009年にフィスコ入社。中小型株、新興市場株を中心に個別銘柄分析を担当する

【窪田真之氏】
楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト。25年間にわたる投信・年金のファンドマネジャー経験を生かしたマーケットコメントを毎営業日提供

※株価などのデータは、4月15日終値時点のもの
取材・文/外国人投資家取材班
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