アジアの経済の中心地が東京であったのは、今となっては昔のこと。現在、世界中の大富豪たちや金融関係者が、もっとも注目する都市はシンガポールにほかならない。人も情報も集まる最先端の地では、いったい何が投資や蓄財のトピックとなっているのだろうか? 現地に身を置く有識者たちに最新の投資動向を聞いた


 世界の金融機関がアジアでの拠点を置くシンガポールには金融のプロも多く住む。ファンドマネジャーの犬養裕一氏(仮名)もそのひとり。

 「個人的なポートフォリオですか? 日本とアメリカの株価指数先物オプションやFXが中心の特殊な配分になっています。上であれ下であれ株式市場のボラティリティ(変動率)拡大を期待したポジションや為替を絡ませたりもするので一概には言えないですが、方向性としては日本株ロング、米国株ショートですね、今は」

 プロならではの特殊な運用を行っている様子。オプションを絡めたポジションはちょっと真似しづらいが、参考になりそうなのがFXの「ブレイクベット」。何らかの理由で値動きが縮まっている通貨のブレイクを期待してベットするやり方だ。



 「2つの通貨でやっていて、ひとつは香港ドル。香港はドルペッグ制といって、自国通貨を米ドルに基本的に連動させており、1米ドル7・75~7・85香港ドルの僅かな幅でしか動きません。香港ドルは『最強のペッグ通貨』として君臨していましたが、昨今の中国経済の躍進もあり、’05年から続く今の変動幅を切り上げざるを得ないだろうという意見が出ています。それに期待し、香港ドルを買っています」
 
 米ドル/香港ドルは切り上げ期待から下限の7・75付近で膠着気味。将来の切り上げで変動幅がたとえば7・45~7・35等に変更されれば、7・75でショートしたポジションは利益になる。
 
 「同じようなことをユーロ/スイスでもやっています。こちらはスイス中銀が1・2を下限に設定し、それ以上は下に行かないよう無制限介入を行っています。スイス中銀がこの下限を切り上げる可能性にかけて、ユーロを買っています」




石田秀明石田秀明氏
税理士。現在は、シンガポールを拠点に企業 の海外進出や国際金融投資のサポートを行っ ている(http://www.global-finance.biz/)