4月で黒田日銀総裁が実施に踏み切った「異次元」量的緩和からちょうど1年を迎えた。確かに株価は上向き、明るい兆しを見せたものだが、消費増税が実施され、日本経済の先行きは不透明……。"アベノミクス2年目"の課題とは何か? 闇株新聞氏がこの1年を振り返りながら分析した


◆アベノミクスの代名詞「異次元」量的緩和から1年の成果は……財務省の裁量拡大だけだった!?(ブログ&有料メルマガ管理人「闇株新聞」氏)



財務省 昨年4月4日に「異次元」量的緩和が導入されてから1年が経過した。そこで、この1年を振り返ってみよう。日銀の保有する国債残高は73兆円も増えたが、これはその間に発行された2~40年国債118兆8000億円の61%に相当する。しかし国債には償還があるので、その間に国債発行残高は49兆円(推定)しか増えていない。つまり、その1.5倍を日銀が吸収したことになる。しかも日銀はすべての年限の国債を買い入れており、その平均年限は7年と新たに発行される国債の平均年限に近い。

 ところが日銀が保有国債を73兆円も増やして市中に供給した資金は、70兆円が日銀当座預金残高に積み上げられたままであり、銀行券の発行増加として市中に供給された資金は3兆3000億円しかない。また日銀の市中銀行に対する貸し付けも8000億円減っている。つまり「異次元」量的緩和の最大の目的とは、国債を市中から徹底的に買い上げて大量発行される国債の消化を助け、さらに国債利回りを全般的に引き下げて財政負担(利払い)を軽減することであり、市中に資金供給して銀行貸し出しを増加させ経済を回復させることではなかったのだ。財政負担が軽減されるので「それはそれでよいではないか?」とも考えられるが、金利水準が低下して利息収入を失うのは国民である。

「異次元」量的緩和は、元大蔵官僚の黒田氏が日銀総裁に就任してすぐに導入された。大量発行される国債の消化を助け、財政負担(利払い)を軽減することは、財政政策における財務省(旧大蔵省)の裁量を拡大して発言力を強化する。一昨年末に就任した安倍首相が、日本経済の回復(アベノミクス)を最優先課題としたタイミングをとらえて旧大蔵省が日銀総裁のイスを取り戻し、同時に裁量を拡大して発言力を強化してしまったのである。これが「異次元」量的緩和なのである。

【選者】「闇株新聞」氏
闇株新聞'10年にブログ「闇株新聞」(http://yamikabu.blog136.fc2.com/)を創刊。管理人は大手証券においてトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった経験を生かして記事を執筆。特に'11年10月の「オリンパス事件」と'12年3月の「AIJ投資顧問事件」で専門家もうなる詳細記事をアップして話題に。'12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」(月額2600円)を開始。昨年4月には『闇株新聞 the book』を上梓