アジアの経済の中心地が東京であったのは、今となっては昔のこと。現在、世界中の大富豪たちや金融関係者が、もっとも注目する都市はシンガポールにほかならない。人も情報も集まる最先端の地では、いったい何が投資や蓄財のトピックとなっているのだろうか? 現地に身を置く有識者たちに最新の投資動向を聞いた


 「今狙い目はアメリカの不動産です。アメリカは、先進国の中で唯一若い世代の人口が増えており、住宅の実需がありますから」と前出の石田氏。
 シンガポールの富裕層が米国不動産とは、意外な気もするが、実は日本の一般投資家にも手が届くレベルの投資だという。

 「リーマンショックで住宅の不良債権を肩代わりしたアメリカの金融機関は、中古住宅の物件を数多く抱え込むことになりました。しかしそれがあると自己資本比率の規制をクリアしにくくなるので、金融機関としては一刻も早く手放したい。それをバルクで安く買いたたきリフォームして販売している業者がいるので、それを買うんです」




 アメリカの不動産物件は、築年数ではなく実際の状態によって評価されるため、中古でもしっかりした物件なら資産価値は下がらない。
 「そうした家に住むのは、アメリカに来たばかりの数多くのヒスパニック系移民ですが、彼らは信用がないのでローンが組めません。そこで投資家が激安の中古物件を購入して、移民の人たちに貸し出します。そして5年くらい経って彼らに信用が付いたら、そのまま売却すればいいんです。家賃収入だけでなく、きちんと出口戦略まで見越したうえでの投資です」



 2000万円程度あれば庭・プール付きの物件が購入可能。日本だったら豪邸だが、ロス郊外などではいたって普通の住宅だとか。
 「そのくらいの物件なら、家賃は15万円くらい。元値が安いので、最後は市場の相場より安い価格で売却しても十分利益は取れます。買値が2000万円の住宅なら、5年後には2500万円くらいで売れたりしますよ」

 その場合、家賃の表面利回りは9%、5年後の売却益を入れると、トータルの利回りは年14%になる計算になり、投資としてのうま味は十分だ。
 海外不動産なんて聞くと、悪徳業者に騙されるんじゃないかと心配する人もいるだろう。しかしアメリカの不動産市場は日本にくらべると非常に透明性が高いので、むしろ日本よりも安全だという。




 「今後、不動産価格が下落するリスクはありますが、少なくとも今現在はしっかりとした実需があります。しかも今は歴史的な円高局面。シンガポールの富裕層はもちろん、日本人にとっては大きなチャンスです」



石田秀明石田秀明氏
税理士。現在は、シンガポールを拠点に企業 の海外進出や国際金融投資のサポートを行っ ている(http://www.global-finance.biz/)