経済と政策は循環するものである。インフレ率が上昇した日本は大規模な金融緩和強化を打ち出せない状況にある一方、デフレ傾向にあるユーロ圏は金融緩和を強化しやすい環境が整った。これにより、内外の金利・為替変動の図式が変わる!


◆日米欧の金融政策に転機近づく!? 金融緩和度は「EU>日>米」に転換する!
(政治経済学者 植草一秀氏)



植草一秀氏 アベノミクスのもと、実施された金融緩和強化によってもたらされた円安・株高。しかし、この流れは'12年11月から'13年5月までのもので、その後は一進一退の動きが続いている。

 '13年末にかけて株価が高値を更新する場面はあったが、'14年に入ってからは株価下落傾向が強まっている。4月には消費税大増税も控えており、安倍政権が早くも下り坂に差しかかってしまうのか気になるところだ。

 さて、下記のグラフをご覧いただきたい。過去3年間の日米欧の消費者物価指数(CPI)上昇率の推移を示したものだが、日本のインフレ率が昨年春以降、急上昇しているのがよくわかる。それに対して、米国はほぼ横ばい、ユーロ圏は低下傾向を示してきた。

⇒【グラフ】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=604879

消費者物価指数

 経済と政策は循環変動するものである。日本では長きにわたって円高が進み、デフレが進行していたために金融の超緩和政策措置が正当化された。しかし、為替が円安に転じて、インフレ率が上昇すれば、さらなる金融緩和政策を実施する根拠は希薄になる。

 経済低迷に苦しむ国は自国通貨の下落を求める傾向が強い。通貨下落で輸出の競争力が増し、経済を立て直しやすいからだ。過去2年間では日本円の下落が突出して大きく、安倍政権は円安・インフレ率上昇・株高の果実を手にしてきたわけだ。しかし、このことは、その裏側で他国通貨の上昇という現象をもたらしてきたことを意味する。その影響が今、最も強く表れているのがユーロ圏なのである。

⇒【後編】に続く
http://nikkan-spa.jp/604865


【選者】植草一秀氏
シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある