安倍晋三首相は'13年末の東証大納会で「アベノミクスは来年も買い」と高らかに宣言した。しかし、年明け後の日本株価は波乱含みの展開だ。米国は株価調整の気配が漂い、中国経済の悪化懸念もある。日本の株式市場への影響は決して小さくない。


◆内外の市場で株価調整の兆候表る!米日中の無視できないリスクとは?
(政治経済学者 植草一秀氏)



植草一秀氏 日本内外の株式市場では、'13年末に高値を記録した。私は会員制リポートに「掉尾の一振」で年末に高値を記録するが、年明け後は調整に転じる可能性が高いと記してきた。

 内外の株式市場に3つのリスクが迫っているというのがその理由だった。それは(1)日本の超緊縮財政、(2)米国の金融政策修正に伴う株価調整、(3)中国人民元高に伴う景気悪化と株安の3つである。

 安倍首相が年末の株高推移に自己陶酔して警戒心を失っている姿に危うさを感じた。相場は「一瞬先は闇」だから、またいつ株価大躍動に転じるかはわからず、この種の文章を書くときには、一歩引いた慎重さが求められる。

 それぞれの株式市場を見てみると、まずNYダウに割高感は存在しない。米国の長期金利3%の水準を踏まえれば、株式の益利回りは6%程度が妥当で、PERでは17倍程度。現状は妥当水準だ。

 一方、日本の場合は長期金利1%を基準とすると、株式益利回りは4%程度でよく、PERは25倍。日経平均株価は2万3500円程度に上昇しても、本来はおかしくないのだ。

 しかし、2つの点に留意が必要だ。1つ目は相場変動に一定のリズム、循環があること。人の呼吸と同じく株価は必ず上下波動を繰り返す。2つ目は、妥当な株価水準を想定できても、株価の流れを後押しする力が働かなければ、株価の理論値は実現しないことだ。

 NYダウは'09年3月安値から'13年末の高値まで、1万ドルの急騰を演じた。この急騰は2つの波動で形成されたが、その第2波動が終局に差しかかっていると判断される。FRBはこれから金融緩和の縮小に進む。金融引き締め下での株価上昇が生じることは稀だ。

 日本では、'14年度の緊縮財政の規模が16.5兆円(国民負担9兆円増+補正予算縮小7.5兆円)に達する。消費税増税前は駆け込み需要で生産が盛り上がるが、その後の反動は半端ではないだろう。株式市場がいつからこの影響を織り込み始めるのか注目だ。

⇒【後編】「相場自体が調整の理由を探している!?」に続く
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【選者】植草一秀氏
シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある