吉田 恒 豪州の中央銀行であるRBAは豪ドル高けん制発言をこれまで続けてきたが、4日発表の声明でそれまで使ってきたけん制発言が削除されたことの目的が思惑を呼んだ。ただ基本は変わらず、新興国通貨不安が広がる中で、刺激することを避けたといった意味ではないか。


◆豪ドル安目標の意味とは?



 RBAの豪ドル安誘導発言、「トークダウン」としては、昨年12月中旬、スティーブンス総裁自身の「豪ドル(対米ドル)は0.85ドルに近づく必要」という発言が大きな話題になった。この発言が報道された前日の豪ドル相場は0.89ドルだった。

 さらに、今年1月には、以下のような発言もあった。「豪ドルは0.80~0.85米ドルの水準まで下落することが望ましい」(RBAのヘザー・リッドアウト役員)。この報道が流れた当時の豪ドルは0.87ドル程度だった。

 ところが、2月4日、RBAは、そんな0.87ドル程度で推移している中で、今度は声明でこれまで使ってきた「豪ドル高は不快」といった言及を削除した。では、昨年12月の「スティーブンス発言」、そして1月初めの前回のRBA声明と、今回の声明発表で違う事は何かというと、1月下旬から新興国不安が拡大したことだろう。

 以上のように考えると、0.87ドル程度で、豪ドル安誘導を止めたということより、新興国不安が拡大する中で、影響の大きい資源国通貨の代表格である豪ドルの下落誘導、「トークダウン」を控えたと考えるのがやはり基本ではないか。

 そもそも、上述のRBA関係者の0.80-0.85ドルといった豪ドル安目標発言の水準は、購買力平価との関係がありそうだ。かつて豪ドルの上限だった購買力平価は最近は0.80-0.85ドル程度で推移している<資料参照>。ただ2008年リーマンショック以降の豪ドル高で、そんな購買力平価を上回る豪ドル高になり、それが最近に至っているわけだ。

※<資料>はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=582758

豪ドル

 これまでのRBA関係者の発言などからすると、購買力平価を上回る豪ドル高は行き過ぎた豪ドル高、「豪ドル高バブル」のような認識があるのではないか。新興国市場など諸状況次第で、豪ドル高是正発言を控える可能性はあるだろうが、基本的に「豪ドル高バブル」是正のため一段の豪ドル下落を望む考えに変わりはないのだろう。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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