吉田 恒氏 固唾を飲んで見守られたFOMCの結果を受けて、18日のNYダウは最高値更新の大幅高となり、為替もドル高・円安が進むいわゆるリスクオン相場が広がりました。ただ、後から振り返ると、その日が当面1か月のリスクオン相場、株高、円安のピークとなり、その後1か月以内でNYダウは5%以上、ドルも対円で3%程度の反落に向かったのです――


◆リスクオンからリスクオフに転じた9月


 今私が述べたのは、「18日」は「18日」でも、12月18日のFOMC相場について説明したものではありません。9月18日FOMC以降の株式及び為替相場について説明したものなのです。あえてそんな確認が必要なほど、実は9月FOMC直後の相場と、今回12月FOMC直後の動きには類似点がありそうです。

 9月FOMCは、事前の予想に反して緩和縮小が見送られると、それを好感する形で株高、円安のリスクオン相場が広がりました。そして今回のFOMCでは、その9月FOMCで緩和縮小を見送った主因だった財政政策について合意に達したことなどから緩和縮小は始まったものの、一方で低インフレへの懸念などから小幅な緩和縮小開始になったことなどが好感されたようで、やはり株高、円安のリスクオン相場が広がりました。

 しかし、9月FOMC後のリスクオンは、FOMC直後のほとんど1日で終わり、その後は1か月以内でNYダウは最大5%以上、ドルも対円で3%程度の反落に向かいました。リスクオフへの反動が広がるところとなったわけです。

 その原因は、リスクオンの限界圏に達していたということが一つあったのでしょう。「恐怖指数」VIX指数は、9月FOMC直後13ポイント台まで低下しましたが、経験的なリスクオン限界圏からその後は一転反発に向かったのです。また、CFTC統計の投機筋のNYダウ買い越しは、9月FOMC後に20万枚以上に拡大しましたが、その後は縮小に向かった。

 当時は、10月初めに待望の東京五輪決定というニュースが流れました。また、米国はシリア攻撃を見送りました。FOMC緩和縮小見送りに加え、こんなふうにリスクオンの背中を押しそうな材料が相次ぐ中でも、むしろリスクオフへの反動が広がったのは、以上のように見てくると、株買われ過ぎに象徴されるように、リスクオン取引が一つの限界に達していたということで初めて理解可能になるでしょう。

 さて、足元もVIX指数は13ポイント台に低下してきました。また、NYダウ買い越しは、12月10日現在で16万枚超です。リスクオンの限界を極め、NYダウ「買われ過ぎ」が進んでいるようなら、今回もFOMC好感相場は9月下旬と同じように伸び悩む可能性があるのではないでしょうか。

 今回のFOMCでは、「メジャード」という言葉が新たに使われた点が専門家の間で注目されました。2004年に当時のグリーンスパンFRB議長が使った言葉で、緩和縮小を小幅に慎重に進める意図が込められていると見られ、それも好感相場の一因になったようです。

 ある外銀のレポートでは、「毎会合少しずつ減額する。FOMCは毎年8回開催されることに鑑みれば、来年末までに資産買入れを終了させることを念頭に置いているようだ」と説明されていましたが、具体的なイメージとしては、こんな感じになるのではないでしょうか。

 そういった効果で、9月FOMCよりリスクオンが長持ちするかも、別な注目点ということはあると思います。(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。