吉田 恒NYダウは11日、100ドル以上の大幅安になった。ではこの株安はさらに広がるのだろうか。リスクオン反動局面と位置付けるなら、一段と広がるリスクは要注意だろう。


◆9月下旬の構図との類似性



 今回の株安は、米財政合意を受けて、来週FOMCでの緩和縮小決定の可能性が高まったことへの警戒とされる。ただ一方で、この財政合意前までは、6日発表のPCEコアデフレーターの上昇率鈍化、つまり物価への懸念から、積極的な緩和縮小への警戒感が後退し、株価一段高となっていた。

 その構図自体が、財政合意を受けて変わったかといえば微妙だろう。では、積極的な緩和縮小にはならないとして、株安、円高などのリスクオフが本格化することはないのだろうか。

 積極的な緩和縮小はおろか、緩和縮小自体を見送ったのは9月下旬のFOMCだった。それでも金融市場はその後、株安、円高のリスクオフに向かった。今から見ると、「恐怖指数」、VIX指数が13ポイント台というリスクオン限界圏に達し、その中でCFTC統計によるとNYダウ「買われ過ぎ」懸念が強くなっていたことから、緩和縮小決定見送りでもリスクオフの動きを止められなかったということになるのではないか。

 さて、VIX指数やCFTC統計のNYダウのポジションからすると、最近はそんな9月下旬の状況と近くなっていた。そうであるなら、来週のFOMCが緩和縮小を慎重にとどめても、それどころか緩和縮小を見送っても、リスクオフへの反動が入りやすい可能性は要注意ではないか。

 もしもそんなふうにリスクオン反動が本格化した場合の株安は、どんなシナリオになるか。今年に入り、VIX指数が経験的なリスクオン限界圏となってきた12ポイント前後で底打ち反転に向かったのは主に6回あった。このうち、NYダウ反落が10日以内で一巡したのは3回、10日以上の長期となったのがやはり3回だった。前者のダウ最大下落率は2%前後、下落幅は300ドル前後、そして後者は同5%前後、同800ドル前後だった。

 これを参考にすると、VIX指数が底打ち、反発に向かう、つまりリスクオンが限界を極め、リスクオフへの反動が入る場合、それに伴うリスク資産の株の下落が短期的に一巡した場合でもNYダウで300ドル前後、長期化した場合は800ドル前後の下落を想定する必要がありそうだ。(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。