吉田 恒 ドルが5月の103円台というこの間の高値を視界に入れる動きになってきた。かりに高値を更新するなら、2011年11月75円台から始まった今回のドル高はいくらを目指して進むことになるのだろうか。


◆ドル高・円安の「最終目標」の考え方



 これは、私のレポートで何度も指摘してきたことだが、ドル高の目標はある程度説明可能なものだ。1973年の変動相場制度以降後のドル高は日米生産者物価基準の購買力平価がほぼ目安になっており、それを完全に超えるドル高になったのは1980年代前半が唯一の例外だった<資料参照>。

※<資料>はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=547334

中期円安

 その生産者物価基準の購買力平価は、足元で93.5円程度。1980年代前半を除くと、これまで最もこの購買力平価をドルが上ぶれたのは2007年であり、12%程度の上ぶれだった。足元、5月103円台のドル高値を更新すると、購買力平価からの上ぶれ率は10%以上に拡大する計算になる。

 ということは、今回が1980年代前半のように、購買力平価を2-3割も上回る例外的なケースでなければ、103円のドル高値を更新しても、さらなるドル上昇余地はあまりないかもしれないという話になってしまう。

 では今回は、1980年代前半のような例外的なケースなのか。1980年代前半は、オイルショックに伴うインフレを抑え込むため、FRBが政策金利を10%以上に引き上げ、かつドル高放置、「ビナインニグレクト政策」を採用した。

 そんな「スーパーな政策」で、「スーパー・ドル高」になったのはわかりやすいが、では今回もそんな「スーパーな政策」が再現するかといえば、今のところは甚だ懐疑的なので、そうであるなら「スーパー・ドル高」の再現もちょっと違う気がする。

 1980年代前半のような例外的なケースでないなら、今回の場合はせいぜい生産者物価の購買力平価からの乖離率が、2007年のプラス12%からどれだけ拡大するのかといったアプローチで考えるのが基本になるだろう。かりに購買力平価を93円として、上ぶれ率が15%まで拡大するなら107円になる。

 そして上ぶれ率が20%に拡大するなら、ドル高は112円程度まで進む見通しになるが、果たしてこれまで上ぶれ率が最大でも12%だったところから、一気に20%まで拡大するということがありうるだろうか。それにしても、こんなふうに考えるのが、「当てずっぽう」ではない、中期ドル高目標についての基本といえるだろう。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。