植草一秀氏野田前首相と安倍晋三氏との党首討論から丸1年がたった'13年11月14日。発表された'13年7-9月期のGDP成長率(速報値)は1.9%。個人消費と輸出が景気減速の主因だったが、すでに消費税増税は決まり、アベノリスクへの転換は確実か。


◆消費税増税で波乱含みのアベノミクス相場は、機敏な対応が勝敗を分ける(政治経済学者 植草一秀氏)



 アベノミクス礼賛の嵐は、'12年11月14日に始まった。この日、党首討論で民主党の野田前首相は、11月16日の衆院解散を宣言。民主党大敗は決定的で、自爆解散と揶揄された。解散宣言を契機に金融市場では円安と株高が進行し始めた。解散後の安倍政権誕生を先読みした市場が、安倍政権誕生=金融緩和強化=円安進行=株高の連動を予測したからだ。手前味噌だが、私はこの変化を'12年10月29日発行の会員向けリポートに明記した。

 予測どおりの現実が出現し、1ドル=79円だった為替レートは'13年5月に1ドル=103円に、日経平均株価は1万5627円に急騰した。円安・株高で安倍政権支持率は高水準に安定。安倍政権は7月参院選にも大勝した。

 ところが、参院選が終わり局面が大転換しつつある。安倍政権の政策スタンスが激変の様相を示しているからだ。参院選までは金融緩和+財政出動だったが、参院選後は金融政策が鳴りを潜め、財政政策は超緊縮に方向を大転換した。

 参院選までの財政政策のハイライトは、13兆円に及ぶ補正予算だった。安倍政権は金融政策だけではなく、財政政策でも超積極姿勢を示したのだ。ところが、参院選後は、消費税大増税に切り替わり、'14年度には9兆円の国民負担増大が実行される。

 さらに、見落とせないことは、'13年の日本経済を支えている13兆円の補正予算効果=公共事業バラマキが、'14年度には一気に激減することだ。アクセル全開がブレーキ全開に大転換する。増税と公共事業減少の効果を合わせると、緊縮規模は22兆円に達し、史上空前のデフレ財政が始動する。

⇒【後編】に続く「安倍首相の増税判断は一種のヤラセ」
http://nikkan-spa.jp/545684


【選者】植草一秀氏
シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある