吉田 恒 ユーロや英ポンドといった欧州通貨の対円での上昇が目立っている。ともに、昨年夏の安値からの最大上昇率は4割程度にも達してきた。この結果、5年移動平均線からの乖離率で見ると、昨年夏の中期的な割安の限界圏から、一転して最近は中期的な割高の警戒圏に突入しつつあるようだ。


◆ほんの1年余りで急変した欧州通貨の中期評価



 ユーロ円の5年線からの乖離率は±20%の範囲で推移するのが基本になってきた(月足ベース)。足元の5年線は117.5円程度。従って、乖離率プラス20%なら141円という計算になる<資料1参照>。経験的には、同乖離率がプラス20%を大きく上回ったことはほとんどない。その意味では、すでにかなり中期的なユーロ割高圏に達しつつあるといえそうだ。

 また、これまで起こったことがないことが起こらない限り、ユーロが月足、つまり月末終値ベースで140円を大幅に上回る可能性は低いということになる。

※<資料1>はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=545406

資料1

 次にポンド円。ポンド円の5年線は足元で137円程度。ポンドは最近165円程度まで上昇してきたが、これにより乖離率はすでにプラス20%程度に拡大した計算になる<資料2参照>。ポンド円の5年線からの乖離率は、1998年7月にはプラス30%以上に拡大したが、それを除くと乖離率がプラス20%を大幅に上回ったことはなかった。

※<資料2>はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=545407

資料2

 ちなみに、1998年7月とはドル高・円安が147円まで進んだ局面だ。そんな記録的な円安によって、ポンド円の5年線からの乖離率も記録的にプラス方向への拡大になったと考えられる。

 以上を参考にすると、今回の場合も、ドル高・円安が一段と110-120円に向かって進むようなら、ポンド円の5年線からの乖離率がプラス30%方向へ一段と拡大する可能性はあるのかもしれない。ただそんな記録的な一段の円安がない中では、すでにポンド円も中期的な割高警戒圏に突入している可能性は考えられる。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。