吉田 恒 ドルは2007年には124円まで上昇した。それと比べると、100円を超えた程度の最近の水準はまだまだドル安だ。しかし、購買力平価との関係でみると、実は足元105円程度で、すでに2007年6月の124円に匹敵するドル高・円安と言えそうなのである。


◆1980年代後半以降で「最大の円安」に肉迫



 少なくとも、1980年代後半以降で、日米の生産者物価で計算した購買力平価を最もドルが上回ったのが2007年6月だった<資料参照>。当時の同購買力平価は110円程度だったのに対し、ドルは最高で124円まで上昇した。つまり購買力平価を12%以上も上回ったわけだ。

※<資料>はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=543826

ドル,円

 さて、同購買力平価は10月末で93.5円程度。したがって、現局面105円をドルが上回ってくると、購買力平価からの上ぶれ率はまさに12%以上に拡大する計算になり、上述の2007年6月に肩を並べ、1980年代後半以降で最大の上ぶれ率になる見通しだ。

 ちなみに、ドルは1990年には160円まで、また1998年にも147円まで上昇した。ただ前者は、生産者物価の購買力平価に届かず、後者も7%程度上回ったに過ぎなかった。

 経済環境が変わるなかで、ドル円も名目レートでの比較には無理がある。これまで見てきたように、購買力平価との関係からすると、1980年代後半以降の「最大のドル高」は2007年6月の124円であり、そして当面において105円を超えると、そんな「最大のドル高」に肩を並べる意味になりそうだということだ。

 日本の貿易赤字国化などに象徴される日米の経済構造の変化により、今回のドル高・円安は、購買力平価との関係で見ても、最終的には1980年代後半以降の「最大のドル高」を更新する、つまり名目レートは105円より大きくドル高・円安に向かう可能性がありそうだ。ただそれが、この数か月で一気に起こるほど簡単かは疑問がある。(了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。