吉田 恒 7日の海外市場では、まずECBの「サプライズ利下げ」、米GDPの「ポジティブ・サプライズ」などから株などリスク資産を選好する動き、リスクオンの動きになったものの、今度は一転して米株も反落、そして下落幅を広げる中で、ドル安・円高は一時97円台後半へ突入するところとなりました。なぜ株高、円安が行き詰り、逆に株急落、円急騰といった「意外なリスクオフ」になったのか。


◆7日海外市場乱高下の舞台裏



 私はそもそも最近、リスクオン取引はすでに限界に達していることから、リスクオフへの反動が大きくなりやすい可能性に注意すべきではないかと考えてきました。その根拠の一つが、「恐怖指数」とされるVIX指数でした<資料参照>

 VIX指数は、概ね12-20ポイントのレンジ中心で推移します。その意味では、12ポイント前後は、リスクオンの限界圏、一方20ポイント前後はリスクオフの限界圏の目安になります。

 6日のVIX指数はまさに12ポイントまで低下しました。経験的にはリスクオン限界圏に達していたわけです。こういったことからすると、今回のようなECB利下げ、米GDPの好結果といったリスクオン材料が出ても、リスクオンに反応できず、むしろリスクオンの限界を見極めたことから、リスクオフへの反動が入りやすくなったのではないでしょうか。

※<資料>はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=534206

株安

 考えてみれば、最近にかけてFRB超金融緩和が、年明け以降まで長期化する観測が広がったこと、そしてECB利下げ観測の急浮上、一部では来週にかけて予定されている中国共産党の重要会議で、前代未聞の経済対策が決まるなどの噂も流れるなど、いわゆるリスクオン材料が相次いでいました。

 こういった中でリスク資産を選好する取引が拡大し、息つく間もない中で、ある意味では「引っ込みつかない」ような状況になっていたのではないかと私は考えてきました。「恐怖指数」VIX指数が示すリスクオン限界圏の可能性とは、そういう意味ではないか。

 そういった観点からすると、7日の海外市場の動き、つまり新たなリスクオン材料が出たものの、金融市場は逆にリスクオフ、つまり株のようなリスク資産を売って、安全資産とされる円を買うという動きになったのも理解できると思っています。

 では、このリスクオフの動きはいつまで続くのか。そもそも例年、11月は米株の「最後の下落」が起こりやすいという傾向があります。これは、いわゆる「45日前ルール」の関係か、11月中下旬にかけて米株は年内最後の下落が起こる傾向があるので、その意味では来週から再来週にかけて下落リスクは要注意かもしれません。

 また、今年の経験則として、VIX指数が底打ちし、反発に転じる過程で、米株は最大800ドル前後の下落が起こっていました。これを参考にすると、11月6日の1万5700ドルの高値から、NYダウは1万5千ドル割れへ続落する可能性はあるのかもしれません。

 このような米株を注目しながら、リスクオフ拡大を探ることになりそうです。米株が今述べたように来週以降も下落リスクが広がるようなら、リスク資産は売られ、一般的に安全資産は買われる可能性があります。つまり株安、円高ということですが、果たしてどうか?(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。