吉田 恒 ドル円は、5月に103円で記録的なドル高・円安が急ブレーキを踏み、6月にかけ93円までドル急反落となったものの、その後は96-100円中心の方向感のない一進一退が延々と続いてきました。ではそれはこの11月も続くのか、それともいよいよ動きが出てくるか。


◆ドル円はいよいよ動き出すのか?



 最初に確認したいのは、10-12月は7-9月とは異なり、いつ方向性を伴った動きになってもおかしくないということです。7-9月は、月足の実体幅で見ても小幅であり、つまり一か月を通じて方向性が出にくいのが普通であるのに対し、10-12月は月の寄り付きから引け値にかけて平均的に3円前後動いていました<資料1参照>。

※<資料1>はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=531811

ドル円,米株
 つまり、この11月は98円台での寄り付きだったわけですが、月末が円高なら95円台、円安なら101円程度になっていても全然おかしくないわけです。もちろんそうならない可能性もありますが、私が言いたいのは、7-9月に方向性が出なかったからと言って、10-12月も方向性が出ないというわけではないだろうということです。

 では、この11月にいよいよドル円に方向性が出るなら、それはあの5月103円を超える円安第2幕に向かう動きでしょうか、それとも逆に95円割れへの円高になる可能性はあるのでしょうか。

 ドル円の前に、久しぶりに方向性が出てきたのはユーロドルでした。ユーロドルは、10月末FOMCを前後し、ユーロ高・ドル安からユーロ安・ドル高へ急反転となっています。では、これは、ドル円もドル高・円安へ新たな方向性が出る前触れなのでしょうか。

 ところで、10月末FOMCを前後し、反転した相場はユーロドルだけではありません。米金利は低下傾向が底打ち、反発の動きとなりました。また、米株は頭打ち、反落の動きとなりました。このような米金利、米株の動きは、FOMCを受けて、米緩和縮小が最近の予想より早く、年内にも始まる可能性を警戒した結果との解説が一般的のようです。

 でも本当にそうでしょうか。「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は、過去一年余り12-20ポイントのレンジで推移し、12ポイント程度はリスクオン限界圏になってきました。そのVIX指数は、最近13ポイント程度まで低下していました<資料2参照>。これは、米緩和長期化期待のリスク選好取引が限界圏に達していた可能性を示しているのではないでしょうか。

※<資料2>はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=531812

ドル円,米株
 私が言いたいのは、10月末FOMCを受けて、米緩和長期化観測の修正を余儀なくされたということではなく、その米緩和長期化観測を受けたリスク選好相場が、すでに限界圏に達していたことから、反転に向かう口実になったのではないかということです。

 私が言いたい違いは、とても微妙なのでわかりにくいかもしれません。ただ、前者、つまり米緩和長期化観測の修正なら、米金利上昇が続きそうで、それはドル高示唆でしょう。一方、後者、リスク選好の反転なら株安でしょうから、普通は米金利低下、そしてドル安の示唆になるでしょう。(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。