植草一秀氏 東京オリンピック招致を手中に収め、勢いを増す安倍政権。それに続いて第5の矢=消費税大増税を放つ。過去には竹下登氏、橋本龍太郎氏が同じ矢を放ち、あえなく討ち死にしたわけだが、'14年度に放たれる渾身の矢は一体何をもたらすのか。


◆絶好調安倍政権が放つ渾身の矢 消費税増税の吹き矢で日本経済は浮上か墜落か?(政治経済学者 植草一秀氏)



 安倍首相は10月1日の記者会見で'14年度の消費税率8%実施を宣言した。先送りを示唆しながら、結局は増税の決定。思わせぶりな素振りで気を引いておきながら袖にするのは罪なことだ。

「増税を先送りしたら株価が急落する」と叫んでいた御用エコノミストは多いが、実際には増税を宣言したら株価は急落した。パターンとしては、'96年6月に消費税増税方針を閣議決定して株価下落トレンドを生み出した橋本龍太郎政権と似ている。

 増税が実施される前は、激しい駆け込み消費が生まれ、一時的に景気は盛り上がる。'97年も5月には一時的に株価が2万円を回復。その後、株価は下落したわけだが、今回も多くの紆余曲折を迎えることになるにちがいない。

 そもそも、駆け込み消費が盛り上がるということは、消費者が増税に極めてナーバスになっている表れだ。9月27日に国税庁が発表した民間給与実態調査にも、労働者の厳しい現実が映し出された。

 給与所得者の年収は平均408万円、うち20.1%が年収200万円以下。非正規労働者の比率は4割に迫っている。日本経済の停滞が20年以上続く状況下で、国民の生活実態は極めて厳しい。

 今回の消費税増税と社会保険料増加で国民負担は9兆円も増える。これだけでGDP比2%のデフレインパクトが発生する。問題は、'14年度の財政デフレ要因がこれに留まらないことだ。

⇒【後編】に続く「消費増税は日本経済を破壊する」
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【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」(http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/)。近著に『アベノリスク』(講談社刊)がある