吉田 恒 上がるかと思うと下がる、下がるかと思うと上がるといった具合に、方向感のないドル円の展開が長引いてきた。ただ、10月はそろそろ変わってくるのかもしれない。


◆方向性が出やすい10月



 ドル円の月足の寄り付きと引け値の差の絶対値を、年後半の6か月について、2012年までの5年間の平均で計算すると、最大は12月の3.6円、そして第2位が10月の2.7円、第3位11月2.5円といった具合になった。以下は、4位が7月2.1円、5位が9月1.4円、6位は8月の1.1円だ。

 月足の寄り付きと引け値の絶対幅が狭いというのは、一か月を通じて方向感が出なかったといった解釈になるだろう。絶対幅が大きいのはその逆で、一定の方向感が出た可能性があったということだ。そんなふうに見ると、ある程度予想された通り、7-9月期は方向感が出にくく、一方10-12月は一定の方向感が出やすかったようだ。

 以上のように見ると、この9月にかけて、方向感の乏しい展開が続いたのは、過去の実績通りといえそうだ。そして過去の実績通りなら、10月は寄り付きから引け値にかけて3円弱ドル高ないしドル安になっている可能性があるわけだ。

米ドル 仮にこの10月が98円台で始まったとして、10月末のドル円は平均的な動きになった場合でも95円台か、101円台になっているといった計算になる。どちらにしても、テクニカルにはこの間のレンジをブレークした可能性が高いため、方向性が出たといった見方になっているのではないか。

 これはあくまで2008年以降のデータによる結果であり、とりわけ10月の場合、2008年が7.6円と大幅な結果となったことが平均値を大きく引き上げているということはある。ただその2008年を含め、過去5年間で4年、10月の数字は9月を上回った。その意味ではやはり、9月より10月は方向感が出やすいのではないか。

 ちなみに、昨年10月の月足の寄り付き、引け値の絶対幅は1.8円といった具合で、必ずしも大幅ではなかった。ただ、記憶をたどると、昨年も10月前半まではうんざりするほど動かない相場が続き、しかしそれは10月後半からにわかに変わり、今から思うとそれがアベノミクス相場に引き継がれた歴史的大相場の始まりだった。

 さて、局面は違うものの、最近も「方向感がない」という言葉を多く聞く中で、一年前のことが思い出される。永遠に続く小動きなどなく、ではそれがいつ終わり動き始めるかといえば、過去の経験を参考にすると、10月は一つの注目するタイミングだろう。(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。