吉田 恒注目された9月FOMCで、緩和縮小は見送りとなりました。この決定を受けて、直後は株高が広がり、いわゆるリスクオンの拡大が注目される局面がありました。ただ私は、リスクオン拡大には限界があるのではないかと考えています。その意味では、米金利上昇に伴うドル高・円安にもやはり限度があると考えています。


◆リスクオン取引の限界



 今回のFOMCでは、当初は緩和の縮小が決定されるとの見方が多かったようですが、その意味では予想外の緩和縮小見送りになったといえるでしょう。これを受けて、直後の金融市場は米金利が大幅に低下し、為替もドル安・円高に動きました。しかし、株価は、緩和縮小見送りを好感した形で大幅高となったことから、FOMCの翌営業日には、金利も上昇に転じ、為替もドル高・円安となりました。

 こういったことから、今回のFOMCの緩和縮小見送りは、リスクオンをもたらし、為替ではいわゆるキャリー取引拡大を促したとの解説が目立っています。ではこのリスクオンやキャリー取引は持続性があるものでしょうか。

 リスクオン、リスクオフを示す目安の一つは、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数でしょう。これは過去1年、12-20のレンジ中心での推移が続いてきました。簡単な言い方をすると、12が恐怖指数低下の下限、つまりリスクオン限度の目安であり、20が恐怖拡大、つまりリスクオフ限度の目安になります。

 さて、その「恐怖指数」は18日には13ポイント台まで低下しました。かなり、この間の下限に接近したといえるでしょう。これを見ると、経験的にはリスクオン拡大の余地はあまり多くはないのではないでしょうか。

 リスクオン取引の代表的なものの一つがキャリー取引でしょう。低金利の通貨を調達し、より利回りの高いところで運用するというものです。では円売り運用、つまり円キャリー取引が拡大し、円安が大きく広がるでしょうか。

 少なくともドル円では限界があるのではないでしょうか。投機筋、ヘッジファンドなどの取引を反映しているCFTC統計の円ポジションは米ドルを対象としたものですが、足元で9.5万枚と今年に入ってからの最高水準に近い円売り越し、米ドル買い越しとなっています。要するに、すでにかなりドル買い・円売りに傾斜した状況となっているようですから、円キャリー拡大余地はやはり限られるのではないでしょうか。(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。