植草一秀氏◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏

10年に世界第2位の経済大国の地位に浮上した中国経済だが、サブプライム金融危機の荒波を受けて経済成長率の大幅減速が続く。シャドーバンキング問題が深刻化する一方で、底入れ模索の観測も存在。現実はどちらに進むのか。


◆中国経済崩壊は感情論にすぎない!? 底入れ観測もある中国PMI指数に注視すべし!



 中国の'12年経済成長率は7.8%だった。'07年の14.2%から比べると、凄まじい減速ぶりだ。

 サブプライム危機に伴う大不況が中国にも波及したことが主因ではあるが、中国経済の成長能力そのものにかげりが見え始めているのも事実である。

 人件費の高騰、中国人民元の上昇は、中国の輸出競争力を低下させつつある。'12年に深刻化した日中関係の冷却化も無視できない影を落としている。'12年の年初から、中国の中央銀行である人民銀行は、金融政策運営を緩和の方向に切り替えた。'13年は経済の底入れが期待される年だったが、日中関係の急激な悪化の影響もあり、景気底入れが未確認の状況だ。

 そして、景気低迷が長期化するなかで新たにクローズアップされているのが、シャドーバンキング=影の金融の行き詰まりである。発端は'09年に発動された64兆円の景気対策にある。大型の財政政策出動で'10年の成長率は10%を回復したが、このときの景気対策がバラマキで、調達資金の焦げつきが懸念されている。ミニサブプライム危機と呼んでもいいだろう。

 中国政策当局は高利回りの不良債権商品である理財商品を整理するために資金供給を絞ったが、副作用で株価が急落してしまった。7月には上海総合株価指数が'12年12月安値水準にまで反落した。

 こうしたことから、中国経済が大混乱に陥るとの警戒論は根強い。しかし、中国経済が崩壊するという説は、過去10年間唱えられ続けてきた仮説である。これらの仮説を唱える人は、現実の経済動向とは関わりなく、常に中国崩壊論を唱える傾向を有する。つまり、アンチ中国派の人々が流布してきた「風説」というのが実態だ。

 感情論ではなく、現実の事実関係=ファクトに基づいて考察をしないと、単なる嫌中アジテーションになってしまう。

⇒【後編】に続く「中国経済は意外と底堅い?」
http://nikkan-spa.jp/507048


【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」(http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/)。『アベノリスク』(講談社刊)を7月上旬に上梓