吉田 恒 ポスト・バーナンキの最有力候補と見られていたサマーズ元財務長官が、次期FRB議長レースから離脱することになったようです。これに対する為替相場の初期反応はドル安でしたが、さらなるドル一段安、「サマーズ・ショック」が起こるかのカギは、米金利が握っているのでしょう。



◆異常な米金利上がり過ぎの修正は起こるのか



 米金利は、長期金利の指標である10年債利回りが一時3%の大台突破含みになるなど大幅上昇が続いてきました。この背景は、異常な金利低下、「金利低下バブル」破裂だと私は考えてきました。

 ただそれにしても、短期的な米金利の上昇ピッチは凄まじく、これはこれで「異常値」が頻発してきたわけです。例えば、米10年債利回りの90日移動平均線からの乖離率は一時プラス30%を大きく上回り、またかなり長い間、プラス20%以上で推移してきました。これは経験的にはやはり異常な上がり過ぎの可能性を示すものでした。

 このような、短期的に異常な米金利上がり過ぎが続いた背景は「米金利低下バブル」破裂でしょうが、その支援材料の一つになっていたこととして、アンチ緩和派とされるサマーズ次期FRB議長有力観測もあったのでしょう。そうであるなら、それが消えたことが、異常な米金利上がり過ぎ修正を本格化させる可能性は注目されるでしょう。

 経験的には、短期上がり過ぎ修正は、最低でも90日線までの米金利低下をもたらします。その米10年債利回り90日線は、足元で2.5%程度。要するに、「サマーズ・ショック」により、米10年債利回りが2.5%まで一段と低下することになるかが注目されるわけです。

 おりしも、今月初めに発表された米8月雇用統計が予想以下にとどまり、今週のFOMCで決まる緩和の縮小も小幅にとどまるとの見方が有力になってきたようです。実は、専門家の見方では、この雇用統計発表前から、そもそも小幅な緩和縮小との見方が基本だったので、雇用統計発表を前後して、大きな見方の変化はなさそうなのですが。

 むしろ、FOMCに対する評価で大きな変化がないのに、米金利が低下し始めたところが重要かもしれません。さすがに、異常な金利上昇の修正が自律的に起こり始めているという可能性があるわけです。

 これを受けて、教科書通りに、米金利が一段の低下に向かうのか。今週のFOMCと、そして今回の「サマーズ・ショック」後の米金利の動きは、ドル相場の方向性を見極めるうえでもカギを握ることとなるでしょう。(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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