「中国の“影の銀行”」が問題視されている。ひとたび焦げつくと、サブプライムショック以上の経済的ダメージをもたらす……などと、まことしやかに囁かれているのだ。果たして、その規模と実態やいかに!?


◆FRBの量的緩和縮小で深刻化する中国シャドーバンキングの実態


(有名ブロガー「闇株新聞」氏)

中国, 社会・政治, 経済 このところ、シャドーバンキングの規模が中国GDPの55%に相当する460兆円もあるとか、FRBが量的緩和を縮小すると問題が深刻化すると心配されています。もう少し正確に考えてみましょう。

 '08年秋のリーマンショック時に、当時の胡錦濤主席・温家宝首相は4兆元(約64兆円)の景気刺激策を打ち出しました。中国経済だけでなく世界経済の沈没を防いだと大いに評価されたのですが、思わぬ弊害が出ていました。4兆元といっても中国政府が負担したのは1兆1800億元だけで、残りは地方政府と国有企業などが負担しました。最大の問題は地方政府に財政的余裕がなかったため「融資平台」と呼ばれる資金調達の受け皿を作ったことです。

 当初は銀行融資だけに頼っていたのですが、間もなく「融資平台」が高利回り債券を発行して資金調達に乗り出します。中国では銀行預金金利の上限が決められているため(現在は3.3%)高いものになると10%を超えると言われる高利回り債券につられて巨額資金が集まり、採算性の疑わしい地方の不動産開発やインフラ建設につぎ込まれました。正規の銀行システムと別個に存在しているため、こうした債券や仕組みはシャドーバンキング(影の銀行)と呼ばれます。

 これは米国の住宅ローン担保証券に格付け機関が甘い格付けを行い、カネ余りを背景に欧米の金融機関がいくらでも購入したため、返済能力の疑わしい人々にも住宅ローンを大盤振る舞いしたことと非常に似ています。

「理財商品」と呼ばれる中国の高利回り債券は自転車操業のため、利払いや元本償還が滞る恐れがあります。また、ややこしいことに銀行が窓口で堂々と販売しているケースが多いのですが、銀行は責任を取りません。地方政府の「融資平台」だけでなく、あちこちの不動産会社や投資会社まで高利の理財商品で巨額資金を調達しており、最大の恐怖は「どれくらいの投資が焦げつき、理財商品の元利金が滞る恐れがあるのか」が誰もわからないことです。

⇒【後編】「中国経済は負のスパイラルに入る」に続く
http://nikkan-spa.jp/502903


 
【「闇株新聞」氏】
'10年にブログ「闇株新聞」(http://yamikabu.blog136.fc2.com/)を創刊。管理人は大手証券においてトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった経験を生かして記事を執筆。特に'11年10月の「オリンパス事件」と'12年3月の「AIJ投資顧問事件」で専門家もうなる詳細記事をアップして話題に。'12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」(月額2600円)を開始。今年4月には『闇株新聞 the book』を上梓