「やられたらやり返す。倍返しだ!」の決め台詞で社会現象にもなっているドラマ『半沢直樹』。欧米の研究機関で博士号を取得し外資系投資銀行でしか働いたことがない藤沢数希氏は、半沢直樹をどう見ているのか?


◆ドラマ『半沢直樹』の大ヒットで心配になる、日本のメガバンクの未来【後編】



◆銀行の収益のためにちゃんと働いてるの?


 半沢は野心も能力もタフさも兼ね備えていて、優秀な部下たちと時に違法行為まで犯し、まるでスパイ映画『ミッション:インポッシブル』みたいに、ギリギリの駆け引きをしながら困難な状況を次々と打開していく。半沢のために、そしてチームのために、深夜まで激務をこなす部下たち。

 しかし第5話まで見ても、半沢たちが厳しい国際競争を勝ち抜くため、銀行の収益のために働いているシーンはまったくない。半沢たちは社内の派閥闘争や保身のために部下をハメようとする上司や理不尽な人事部と闘うために、家族を犠牲にしてまで激務に耐えているのだ。そこで賭けられているのは、ささやかな出世か出向かというセコイものだ。

 半沢、君はそんなに頭がよくて度胸もあって、すごいリーダーなのに、お前の給料って、同じ銀行の受付の姉ちゃんと2倍も変わらないんじゃないの? というか君たち、クソな上司に“10倍返し”する前に、会社辞めて金融ベンチャーでもやったほうがいいんじゃない? いや、それよりまずは外資に転職でもしたら、と思わず僕は突っ込みたくなる。

 登場人物の誰もが、銀行の収益のために働いていないのだが、日本のメガバンクの将来は大丈夫なのだろうか?

【今週の数字】
三菱UFJFGの時価総額
8.3兆円
半沢直樹が勤める東京中央銀行のモデルだといわれる三菱UFJフィナンシャル・グループの時価総額はトヨタ自動車に次いで日本で2番目、世界有数の資産規模を誇る

⇒【グラフ】世界のメガバンク時価総額
http://nikkan-spa.jp/499757/mane_130903_04

日本の旧態依然としたメガバンクの経営は酷評され、欧米の銀行のように最先端の金融工学を駆使してビジネスを展開するべきだといわれていたが、その欧米の銀行が金融工学を駆使して壮大にずっこけたために相対的に地位が向上した
【上図】日本の旧態依然としたメガバンクの経営は酷評され、欧米の銀行のように最先端の金融工学を駆使してビジネスを展開するべきだといわれていたが、その欧米の銀行が金融工学を駆使して壮大にずっこけたために相対的に地位が向上した

 
【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは8万人に及ぶ。最新刊『外資系金融の終わり』(ダイヤモンド社)が発売中