スターティングハンド表に従いプリフロップでミドルポジションからA9sでレイズ、BBがコールした以外は全員フォールドでフロップが開く。

ペアはヒットしなかったが、フラッシュドロー(あと1枚でフラッシュが完成)。ここで、BBのプレイヤーがポットの半分の額をベット。「レイズ」は無視するとして「コール」と「フォールド」のどちらが正解か?「フラッシュを引けば勝てるからコールじゃ!」では丁半博打と一緒。こういったケースで、正しいプレイの指針とすべき確率の知識がある。

細かい計算式は左図を参照してもらうとして、フロップの時点でフラッシュドローがあり、リバーまでにフラッシュが完成する確率は38・7%ある。件のケースでポットを100ドルとした場合、相手は50ドルのベット。コールすればポットは200ドルとなる。これは「200ドルの利益を得るために50ドルを投資」と言い換えることができ、「ポットオッズは25%」となる。前述したようにフラッシュが完成する確率は38・7%だから、この投資行為は「オッズが合う」といい、「コール」が正しい選択ということになる。

もちろん、プレイ中にこんな面倒な計算をしている余裕はない。そこで便利なのが「アウツ」だ。「アウツ」とは、「これを引いたら勝てる」と思われるカードの総数で、ターンとリバーが残っている場合は「アウツ×4」%、リバーだけの場合は「アウツ×2」%で勝利確率が算出できる。フラッシュの場合は、アウツ9枚(スーツ数13枚から見えている4枚を引く)×4=36%。多少の誤差はあるが、プレイに影響されない程度の数字だ。

確率論はプリフロップでのアクションや、相手のスタック量から算出したインプライドオッズ(潜在的な期待値)にも及び、突き詰めるとかなり難解だが、強いプレイヤーほど数学の知識を駆使し、最善のアクションを選択していることを覚えておいてほしい。







開始30分後の大事故はバッドビートか実力不足か!?





WSOP出場権を賭け、約3000人ものプレイヤーが激突するAJPC。小誌編集I(34歳)もエントリーした。

予選は50名1グループずつに分けられ、上位5人が本戦に出場。スタートチップは3000。ブラインドストラクチャーは25/50から始まり、20分ごとに1・5~2倍に増えていく。参加率を抑えて、大きく勝負できるチャンスを狙う――というのが基本戦術だ。

BBでチェックした以外は一度も参加することなく開始30分が経過。ミドルポジションの中年女性が300ドルにオープン。BBの僕に配られたハンドはJJ。リレイズも考えたがまだ序盤。コールを選択し、ヘッズアップ。フロップが開く(下図参照)。

【ポット 750ドル】

イエス! Jのセットが完成。僕は標準的バリューベットである400ドル(ポットの半分)を場に投げ入れる。すると、相手は1200ドルにリレイズ! 彼女は何を持っている? すでに3枚見えているJヒットは考えにくい。彼女のプレイで辻褄が合うのはQQ、KK、AAなどのオーバーペア。88、44もあるが、いずれにしてもこちらの勝率は90%超で理想的(彼女には2アウツしかない)。怖いのはフラッシュのドローだが(9Tでレイズしたとも考えづらいので、ストレートは読みから除外)、それでも、こちらにはフルハウスの目もあるし、6割近い勝率はありそうだ(後日、確率サイトで計算したところ、勝率72%だった)。

I「オールイン」
女「コール」

A♠T♠のフラッシュドローを見せた彼女は僕のJJを見て落胆するが、ターンの9♠を見て狂喜。リバーも僕のフルハウスに助けとなるカードは出ず、一番乗りで敗退(涙)。

ポーカーには破産を余儀なくされることがある――その言葉を嚙みしめながら、早々に会場を後にした。