植草一秀氏◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏

アベノミクス人気で参院選を乗り切った安倍政権だが、6月中旬から7月中旬にかけての株価上昇は、アベノミクス効果によるものではない。日本株相場の変動を握るのは米国長期金利の動向。だが、そこに潜む大きなリスクとは?


◆アベノミクス終焉後の焦点米長期金利高は福音か疫病神か?


 安倍晋三首相は、アベノミクス人気で参院選を乗り切ることに成功した。すべてが順風満帆に見える安倍政権だが、選挙前には事態の大転回をも懸念された。円安=株高の流れが、突如、相場の乱気流に包まれたからだ。

 日経平均株価は'12年11月14日時点で8664円だった。これが今年5月22日に1万5627円に達し、6963円の上昇幅を記録。ところが、6月13日には1万2445円に急落し、上昇幅の46%がわずか3週間で消滅した。

 この急落の流れが参院選まで持続していたならば、選挙結果はかなり異なるものになっていただろう。ところが、株価はその後に急反発。7月18日には1万4808円の水準まで回復したのだった。

 危ういところで事なきを得た安倍政権だったが、6月13日から7月18日にかけての株価上昇は、アベノミクス効果によるものではない。アベノミクス効果とは、日本の金融緩和が金利低下をもたらし、円安・株高を生み出すというもの。

 ところが、アベノミクスによる金利低下は黒田総裁率いる日銀が金融緩和を打ち出した4月4日で終了してしまった。これ以後、日本の長期金利は逆に上昇している。

 折しも、4月から5月にかけて米金利が急低下し、両者が相まって、日本円は急反発。連動する形で日本株価が急落したのだった。

 それが6月13日以降、株価が回復したのはなぜか。

 安倍政権に福音をもたらした背景には、米長期金利の急上昇がある。米国10年国債利回りは1.6%から2.6%に急上昇を示した。つまり、アベノミクス効果による株高ではなく、米金利上昇に起因する円安・株高が生じたのだ。

⇒【後編】に続く「中期的には米金利はさらに上昇する可能性が高い」
http://nikkan-spa.jp/489863


 
【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」(http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/)。『アベノリスク』(講談社刊)を7月上旬に上梓