西濱 徹氏 成長期待が大きいといわれた新興国、いわゆるBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)への投資はすっかり一般的になったが、これらの国々よりもっと辺境で、手垢のついていない国々に投資する方法はないだろうか。新興国経済に詳しい第一生命経済研究所の西濱徹氏はこう説明する。

「BRICSより発展の前段階にある途上国として『フロンティア』と呼ばれる国々があります。7月に東京証券取引所に『フロンティア株ETF(上場投資信託)』が新規上場し、これら国々の株式に手軽に投資できるようになりました」


◆成長の伸びしろが大きく大化けも期待できる国々


「フロンティア諸国は新興国の中でも発展のスタート段階にあり、経済が未熟なので成長の伸びしろは非常に大きい。今後最も大化けが期待できる投資先のひとつといえるでしょう」

 ETFが連動するMSCIフロンティア・マーケットインデックスは、2012年9月の設定以来17.42%のリターンを記録している。新興国の代表格であるBRICS諸国は、2000年代にGDPが3倍以上に成長する目覚ましい経済成長を遂げており、フロンティア諸国は、まさに次なるBRICSを目指して発展が始まったばかりの国々だというのだ。

「具体的にはサウジアラビア、クウェートなどの中東諸国、アジアならバングラデシュやベトナム、アフリカではナイジェリアやケニアなどの国々を指します。資源を豊富に持つ国が多いのも特徴です」

 ただし、リターンとリスクは表裏一体。成長余力が大きいフロンティア諸国も、裏を返せば現段階では経済成長が遅れているわけであり、それには理由がある。

「中東諸国は情報開示が不十分で投資に必要な情報が得にくい状況にあります。国民の権利意識も高まりつつあり、民主化の動きが起これば政治的に不安定になる可能性もあります。アフリカも情報が少なく政情が不安の国も少なくない。アジアでもベトナムは共産主義下にあって政策が遅々として進まず、バングラデシュも政治的に不安定な状況が続いています。フロンティア諸国は概して政治リスクが非常に高いといえます」

 おまけに、経済規模が非常に小さいので、資源価格や世界経済の影響を強く受け、値動きが非常に荒くなる傾向にあるという。

「買った途端に急騰してもおかしくありませんが、大幅に暴落する事態も十分考えられます」

 中長期的には大きな成長が期待できるが、短期的な値動きは非常に荒くなるため、投資先としてはややギャンブル性が高いという。

⇒【次回】「[発展途上国]投資はETFか投資信託か?」に続く
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【西濱 徹氏】
第一生命経済研究所主任エコノミスト。国際協力銀行でソブリンリスク審査などを担当し、'11年より現職。新興国のマクロ経済及び政治情勢分析が専門

― [発展途上国]投資で果報は寝て待て【1】 ―