吉田 恒氏 マーケットでは、6月に入ってから、中期円安予想にも「迷い」が出てきたのかもしれません。「中期的な円安の流れは変ってないのですね」といった、念押すような質問を受けることが多くなった気がします。


◆アベノミクス円安で「もっと」という不思議


 ただ、私からするとちょっと不思議な気がします。教科書的にいうと、為替は資本の流れで決まるので、最も重要なのはもちろん金利です。その金利からすると、むしろ最近になってようやくドル高・円安が正当化され始めてきたわけなのです。

 <資料>はドル円と米2年債利回りの関係を見たものですが、昨年秋以降乖離が拡大する一方だった両者の関係が、最近にかけて急接近しているのがわかるでしょう。最近の米金利急上昇によって、ドル円も90円程度の水準は正当化されるようになってきたわけなのです。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=465669
<資料>

「為替は金利で決まる」という大原則からすると、金利や金利差で説明できないドル高・円安が進む動きにこそ、不安を感じても普通でしょう。これまでは、ドル金利が上がっているわけでもないのにもっとドル高、一方で円金利が下がっているわけでもないのにもっと円が下がると考えられた感覚こそが、原則に照らし合わせて見ると「不思議」だったでしょう。

 そして最近は、ドル金利が急上昇しているのです。だからこそ、私などは短期的には金利上昇に行き過ぎ懸念を感じますが、それは別にして、米超金融緩和の見直しにより、中期的にドル金利は一段と上昇するとの見方は一般化しているのでしょう。普通ならむしろ、短期はともかく、中期的なドル高・円安見通しにいよいよ確信を高めるのではないでしょうか。

 原則的に考えると、以上のようにとても単純に整理できそうなのに、なぜ一般の感覚はそれと正反対のようになっているのでしょう。情報過多の時代にあって、逆に原則がわかりにくくなっているのではないでしょうか。

 普通に考えると、せっかく原則通りに金利や金利差で中期的なドル高・円安見通しが正当化されてきたのに、その前に、金利や金利差では正当化できないドル高・円安を「やり過ぎた」分の調整から、短期的にはドル安・円高リスクが高まったということなのでしょう。(了)

 
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/