吉田 恒氏 株安が世界的に広がりそうな気配となってきました。その株安については、「FRBショック」のように言われる割には、これまでのところ米国以上に、日本株が大きな反応となっています。ただ今後は徐々に株安「本命シナリオ」が米株に移っていく可能性があるのではないでしょうか。


◆先々を考えると日本株より米株に不安


 なぜこれまでは日本株の急落が目立ったか。その理由の一つは、日本株のほうが上がり過ぎ懸念が強かったということで一応説明できなくはありません。

 <資料12>は、日経平均とNYダウの90日移動平均線からの乖離率ですが、日経平均は1990年以降で最大の上がり過ぎの可能性があったのに対し、NYダウはそれほどではありませんでした。これがすべての原因かはともかく、少なくともこの観点から見ると、より上がり過ぎ懸念の強い日本株から下落に転じ、米株は下げ渋ったことの説明は可能でしょう。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=450132
<資料1>

※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=450133
<資料2>

 ではこの先も、米株の下落リスクは限られるかといえば、それはどうでしょうか。<資料3>は、NYダウと米景気の関係を見たものですが、すでに景気で説明できる範囲を大きく超えた米株高になっているようです。これを見ると、米景気指標がよくなっても、米株高が続くというわけではないでしょう。

※<資料3>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=450134
<資料3>

 ではなぜ、景気で説明できる範囲を超えた米株の大幅高となってきたのでしょうか。それは米低金利を好感したいわゆる「金融相場」の株高が空前規模で展開してきたということではないでしょうか。こんなふうに見ると、米株の行方を決めるのは米景気より米金利の可能性があります。

 ここにきて、日本株急落が目立ってきたのは、FRBのいわゆるQE解除接近を警戒した動き、いわば「FRBショック」との説明が一般的です。それと関連した日米の金利上昇を嫌気した日本株安ということでしょう。

 これまで見てきたことからすると、そんな金利上昇を嫌気しての株安リスクは、数年規模で拡大した空前の「金融相場」の結果である米株高の可能性を考えると、その米株への影響の方が大きいのではないでしょうか。

 これまでは、あくまで短期的な日本株の「異常な上がり過ぎ」の修正で、下落リスクが目立ってきたということだと考えています。金利上昇リスクを受けた株急落の「本命シナリオ」は、米株のほうが要注意なのではないでしょうか。(了)

 
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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