植草一秀氏◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏

金融緩和政策の強化と大型補正予算の編成を柱とするアベノミクスは今のところ、功を奏し、2/4の更新(http://nikkan-spa.jp/378650)で指摘した日経平均1万6000円も手に届く範囲に迫ってきた。だが、ここにきて金利上昇のリスクが浮上している


◆株価急騰で飛ぶ鳥を落とす勢いの安倍政権を襲う予想外の金利上昇リスク


 安倍政権は円安・株高の実績を前面に掲げ、7月の参院選を正面突破する構えを示している。原発、辺野古移設、TPPなどの主要問題にはできるだけ光を当てず、メディアの安倍政権礼賛に乗る構えだ。

 憲法について、自民党は基本的人権を抑圧し、“国家権力を縛る憲法”を“国民を縛る憲法”に改変する草案をすでに提示している。だが選挙では、衆参両院の過半数で憲法改正を発議できるようにする改正案だけを論じる姿勢を示す。

 安倍政権を支持する勢力が参院でも3分の2以上を占有すると、憲法96条が改正され、そののちに、憲法本体が大改正される可能性がある。戦後最大のリスクが迫っていると言っても過言ではない。

 安倍政権の高い支持率をもたらしているのは、言うまでもなく株高だ。'12年11月以降、金融緩和政策の強化が唱えられ、これに呼応して長期金利の低下と円安が進行してきた。

 '11年以来、日本の株価は円ドルレートとの連動傾向を強めており、円安=株高の図式で、日経平均株価は急騰を続けてきた。

 2/4更新の本欄(http://nikkan-spa.jp/378650)では、過去の株価急騰局面との比較を踏まえて、日経平均株価が1万6000円以上に上昇する可能性が強い、と指摘したが、あっという間にその水準に接近しつつある。

 そして、株価急騰のもうひとつの要因は、日本の株価が低すぎる水準に引き寄せられていたことだった。

 菅政権、野田政権の政策運営がマズすぎたために、株価は理論値よりも下方に振れてしまっていた。ダメな首相の後で首相に就いた安倍氏はラッキーだったともいえるだろう。

 ただ、アベノミクスのシナリオに微妙な誤算が生じ始めている。日本の長期金利が急上昇する気配を示し始めたのだ。

⇒【後編】に続く「アベノミクスは参院選前に試練」
http://nikkan-spa.jp/444294

 

【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ」「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。近著に『金利為替株価大躍動』(ビジネス社)