吉田 恒氏 日本の長期金利、10年債利回りが、23日には一時1%まで上昇しました。ところで、この動きは、以前も指摘したように、過去の異常な金利下がり過ぎ修正局面と、これまでのところは基本的に同じパターンのようです。「異常な金利下がり過ぎ」の反動は、一転して「異常な金利上がり過ぎ」拡大に向かい、制御不能に陥る懸念があるだけに要注意でしょう。


◆「ノーコントロール」という不安


 下記の<資料1>のように、10年債利回りの90日移動平均線からの乖離率を見ると、最近は1998年10月、2003年6月に近い記録的な「下がり過ぎ」となっていました。ところで、過去の2例は、下がり過ぎの修正が本格化すると、一転して同乖離率がプラス90-100%に拡大するといった「異常な金利上がり過ぎ」となったのです。

 今回の場合も、23日までに同乖離率はプラス30%を上回る動きになりました。「下がり過ぎ」の修正が、一転して2003年以来の「上がり過ぎ」拡大に向かい始めているわけです。ちなみに、過去2例と同じように、今回の場合も同乖離率がプラス100%近くまで拡大する「異常値」に向かうようなら、一気に1.4-1.5%に向かう計算になるわけです。

 22日、黒田日銀総裁も言っていたように、基本的に長期金利はコントロールできないもの。従って、「異常な金利上がり過ぎ」に向かう動きもコントロールできない懸念を抱えているわけです。マーケットは、このコントロールできないという不安を恐れます。23日の株価は、日経平均が1000円を超える暴落となりましたが、これも、この「ノーコントロールの金利上昇」への不安の一因ではなかったでしょうか。

<資料1>

 また、この「ノーコントロールの金利上昇」は、米国についても気になります。米10年債利回りは22日、2%の大台を突破しました。バーナンキFRB議長の議会証言やFOMC議事録を受けて、FRBによる債券購入の縮小が近付いてきたことを受けて、債券が売られ、利回りが一段と上昇したとの解説が一般的でしたが、それも後付けという印象があります。

 金利は景気で説明できるのが本来のところ、下記の<資料2>のように、過去1年以上、両者の関係が大きく乖離していたという意味では、米国の場合も「異常な金利下がり過ぎ」の可能性がありました。その修正が始まったら、今度は制御が困難になりつつあり、それが22日の2%突破の真の理由ではないでしょうか。(了)

<資料2>

 
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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