吉田 恒氏 世界一の準備通貨米ドルを差し置いて、ここ数年、FXなど日本の外貨運用でのNo.1人気は豪ドル「オージー」だったが、最近は一段の下落見通しも出るなど、ちょっと様子が変ってきたようです。


◆転換点を迎えた先進国の衰退、新興国の台頭


 ドラッケンミラーは、ヘッジファンドの帝王と呼ばれるG.ソロスの「片腕」と呼ばれた人物。そのドラッケンミラーが豪ドル(オージー)「暴落」見通しを述べたようです。以下は、それについての8日付けブルームバーグの報道。

「ドラッケンミラー氏は8日、ニューヨークでの会議で『10年におよぶ商品の需要は終わったと思う』とし、『将来的にみると、商品は毒を含んだカクテルだ』と述べた。また、オーストラリア・ドルについては『かなり下落する』と述べた」

 <資料>は商品相場の総合インデックスであるCRB指数と豪ドル(対米ドル)のグラフを重ねたもの。2010年まで遡って両者の関係を見ると、確かにCRB指数はすでにかなり下落しており、それに比べると豪ドルは割高懸念が強いようだ。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=435808
<資料1>

 ちなみに、CRB指数は昨年6月、ギリシャ再選挙騒動前後の一時期を除くと、2010年以来の水準まで下落してきた。そんな2010年当時、豪ドルは1ドルを下回っていたわけだから、最近の1.02ドル近辺から豪ドルの下落余地は気になるところではある。

 そもそも最近、先進国の衰退、新興国の台頭といったトレンドが転換点を迎えているといった論調が目立ち始めてきました。為替における“先進国通貨の代表”米ドルへ、“新興・資源国通貨の代表”豪ドルなどから中長期の資金回帰が広がる論拠としても注目されるでしょう。

 双日総研の吉崎副所長は、4月19日付け「溜池通信」で「BRICsの時代は終わったか」というテーマを取り上げていました。

「もちろんBRICs4か国は、大きな人口と経済規模を抱えた国として、今後もそれなりの存在感を示していくことでしょう。政治的な役割も、以前に比べると大きくなっている。ただし、もはや4か国の一挙手一投足が注目されるような状況ではなくなっている。」

 ではこういったことが、為替においては中長期的にどのような影響をもたらすか。それについては、吉崎氏の以下のような指摘がヒントになりそうです。

「新興国における『オールド・エコノミー中心』の成長が減速すると、使われる資源量は2000年代ほどではなくなる。このことは、昨今の国際商品価格の下落という現象と整合的である」

 新興国の台頭が、資源価格の中長期的な上昇をもたらす一因となり、同時に資源国通貨の中長期的上昇を後押ししてきた、そんなトレンドが転換に向かい始める可能性が注目されそうです。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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