吉田 恒氏 早いもので、今日で4月も終わります。この4月は94円程度で取引が始まったので、本日、ドルがそれを上回ると、7か月連続のドル高・円安となり、少なくとも1995年以降で私が調べたところでは、ドル高・円安連続記録の最高に並ぶことになります。


◆4月で過去最高の7か月連続円安に並ぶ


 ただ、別な言い方をすると、ドル高・円安が8か月以上続いたことは私が調べた限りではありませんでした。ドル高・円安の連続記録は、1996年にかけて、そして2001年にかけて、これまで2回、7か月というのがありましたが、ともに8か月目はドル安・円高となったのです。

 実は、ドル安・円高の連続記録でも同じです。ドル安・円高の連続記録も、これまでは7か月が最高で、8か月目はドル高・円安への転換となったのです。

 さて、今回のドル高・円安は、昨年10月から続いてきました。当初は「安倍円安」として、そして4月から黒田日銀による「異次元緩和」の加勢を受けると「アベクロ円安」として、一気に100円の大台突破寸前まで広がりました。

 この驚異の「アベクロ円安」なら、これまでの経験なんて通用せず、ドル高・円安の連続記録を8か月、9か月と伸ばしていくことになるのでしょうか。確かに「アベクロ円安」も驚異的ではありますが、そもそもこれまで7か月連続となったドル高・円安は、当時の感覚としては、これまでの経験では説明できない驚異的なものでした。

 1995年から1996年にかけて7か月ドル高・円安が続いたのは、「超円高」からの反転、異色の大蔵官僚、榊原英資氏が「ミスター円」と呼ばれて大活躍した「榊原円安」でした。この歴史的な円安大相場も、今から見ると7か月連続で一巡したのでした。では、「アベクロ円安」は、「榊原円安」を超えてしまうのでしょうか。


◆「榊原円安」が止まった理由、ではアベクロは!?


 「榊原円安」のハイライトは、1995年7月から9月にかけて、ほんの2か月余りで一気に20円もドル高・円安になった動きでしたから、今回の「アベクロ円安」に比べても勝るとも劣らないものだったといえるでしょう。では、そんな「榊原円安」がさすがにペースダウンし、ついには7か月で一息つくところとなった原因は何だったか。

 この「榊原円安」の最大の武器は、円高是正の円売り介入でした。それによって80円から100円までドル高・円安は一気に進んだのですが、さすがに100円を超えると円安誘導への批判もあるため円売り介入はできなくなったのです。最大の武器が使えなくなると、さすがに円安もペースダウンし、ついには一息ついたということでしょう。

 さて、今回の「アベクロ円安」における最大の武器は何でしょうか。やはりそれは「異次元の緩和」でしょう。ただその政策目標であるインフレ率2%達成に対しては、専門家の間では懐疑的な見方が強いようです。ましてや、それは円安を目的にしたものではないと、当事者たちが再三確認し、そもそも円安との因果関係も、冷静にみると曖昧なのです。

「異次元の緩和」が正体を現したところで一気に100円に迫った「アベクロ円安」でしたが、「異次元」だけに頻繁に繰り出されるわけではなさそうです。しかも円安を目的にしていないとなれば、円高になったからといって「異次元第二弾」の動機にはならないでしょう。

 こんなふうにみると、アベクロ円安も、連続記録での「榊原円安」超えは、そんなに簡単なことではなさそうですが、果たしてどうか?(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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